今秋ドラフト候補の専大・森山恵佑外野手(4年=星稜)が、バックスクリーンへ推定135メートルの特大アーチをかけた。試合は3-7で日大に敗れたが、プロ7球団15人のスカウトに圧倒的なパワーを披露。中大は巨人田畑2軍投手コーチの次男、田畑瑛仁捕手(2年=浦和学院)が大学1号の先制2ランを放つも、亜大に4-5でサヨナラ負け。05年秋以来の開幕4連敗となった。

 緑のユニホームを着た「専大のゴジラ」のバットが火を噴いた。0-2の4回、森山が高めに浮いた137キロの直球を捉えた。高く舞い上がった打球は、中堅フェンス後方に設置された高さ約5メートルの広告掲示板を越える大学通算4号。「打った瞬間に入ると思ったけど、あそこまで飛ぶとは思わなかった。風にも乗ってくれた」。本人も驚く推定135メートルの特大アーチに、スタンドがどよめいた。

 昨季セ・リーグ本塁打王クラスの飛距離だった。神宮を本拠地とするヤクルト山田でも簡単には届かない位置に、大学生が木製バットで放り込んだ。関係者は「山田でも行くかどうか。フリー打撃でバレンティンが放り込むが、試合ではほとんど見たことがない」と証言する。視察した阪神中尾スカウトは「飛ばす力は(今秋ドラフト候補で)NO・1でしょう。あそこには外国人選手でもなかなか入らない」と話した。

 憧れは、もちろん「本家ゴジラ」だ。星稜高(石川)では、OBの元ヤンキース松井氏の場外弾を防ぐために右翼後方に設置された「松井ネット」が有名。エースで中軸を担った森山は「練習では越えたことがある」と話す。188センチ、92キロの恵まれた体格は、プロ4年目で185センチ、90キロだった松井氏と変わらない。同じ左打ちの大砲は「偉大な先輩すぎて、打撃フォームをまねしたことも、モデルバットを買ったこともない」と言うほど尊敬する。

 豪快なスイングが持ち味も、開幕前に背筋を痛めて約3週間離脱した。「オープン戦も半分は出られなかった。ぶっつけ本番に近かった」という状態で、8日の東洋大戦で左中間に今季1号を放った。復調途上ながら打率を3割6分8厘に伸ばし、2本塁打はリーグ単独トップ。「目標は打率3割以上、5本塁打、15打点」と語る大学NO・1スラッガーが、ドラフトイヤーに3冠を狙う。【鹿野雄太】

 ◆森山恵佑(もりやま・けいすけ)1994年(平6)5月2日、富山・黒部市生まれ。小5から野球を始め、桜井中では軟式野球部に所属。星稜(石川)では1年春からベンチ入り。投打の柱として3年春の県大会優勝。専大には投手として入学。2年春から野手に専念。左投げ左打ち。188センチ、92キロ。