恥ずかしい、情けない…。これは阪神金本知憲監督(48)が一番したくなかった試合のはずだ。攻守にミスやふがいないプレーを重ねて、今季ワーストの11失点で大敗。巨人に連敗して貯金が消滅した。4回の三振を見届け、3番中堅の江越を懲罰的に交代させた。「超変革」を担う若手にムチを振り、がむしゃらさで停滞ムードを突き破る。

 中堅の守備位置に向かっていた江越を、金本監督が呼び止めさせた。5回表の攻守交代タイム。怒りの厳罰交代を命じた。

 金本監督 ああいう守備があって暴投(悪送球)もあった。(打撃はタイミングが)合わない時もあるけど、合わないからすみませんではね。

 攻守に精彩を欠いた江越のプレーが大敗の引き金になった。2点ビハインドの4回無死一塁で、後方に飛んだ村田の飛球を落球(記録は二塁打)。さらに無死満塁で長野の中前打を本塁に悪送球し、2者がかえった上にピンチが拡大した。岩田も崩れ、この回4失点で0-6。江越はその裏に回った打席も見逃しの3球三振を喫し、甲子園は深いため息に包まれた。

 金本監督 ある程度目をつぶってでも、チャンスを与えている。でも3番を打たせているわけですから。

 守備の2つのミスは猛省が必要だ。でもしょんぼりしたままなら最悪。すぐに巡ってきた挽回チャンスで、目の当たりにしたのは覇気のないような三振…。キャンプから熱血指導でたたき込んできた執念、泥臭さはどこに消えたのか。就任会見でも「期待の若手」に挙げただけに、厳しい言葉が飛んだ。

 金本監督 今日は一番恥ずかしい試合やね。一番情けない試合。これではファンに何を言われても仕方ない。でもそういう選手を送り出した俺の責任だから。

 目指す「負けてもワクワクする野球」とは正反対の惨敗に、じくじたる思いだった。4回はゴメスもエラー。6回には鳥谷もはじき、坂本の3ランなどでダメ押しの4点を与えた。投手陣は3失策も響いて11失点。攻撃陣も田口に5併殺をくらって完投された。雨で開始が30分遅れた中で、大声援を送ってくれたファンにも申し訳ない。江越の厳罰交代に加え、試合後は岩田らの2軍降格も決め、空気を締め直した。

 金本監督 いい当たりもあったし、(5併殺の)結果をどうこういうつもりはない。でも今日みたいなミスが出ると脱落していく。

 ナインに奮起を促し、自戒も込めるように言った。ついに1日以来の貯金0。首位巨人とは最大の3・5ゲーム差に広がった。

 金本監督 まだ5割だし、順位は気にならないよ。若手にレギュラーはいない。どういうチーム作りをしていくか。しっかりした野球をやるかの最中だから。

 「超変革」途上の生みの苦しみか。だが甲子園で巨人に3タテされ、開幕以来の借金となっていいのか。江越よ、このままでいいのか。今日こそ男の意地を見せろ。【松井清員】

 ▼阪神の11失点、10点差負けは今季ワースト。カード初戦からの連敗は、3連敗を喫した15~17日の中日戦(ナゴヤドーム)以来2度目。貯金がなくなり勝率5割になったのは1日DeNA戦(横浜)でサヨナラ負けを喫して以来。首位チームとの3・5ゲーム差は今季最大となった。