古巣をピタリ追走だ。ロッテは先発ジェイソン・スタンリッジ投手(37)が日本ハム打線を6回2/3を7安打1失点。強風の中、毎回走者を背負ったが、味方の適時失策による最少失点で踏ん張った。今季2勝目で、昨季まで在籍した首位ソフトバンクを0・5ゲーム、上回った。勝率で2位のままだが、チームの貯金は今季最多7。4月終了時の貯金7は、日本一に上り詰めた10年以来の快進撃だ。

 スタンリッジは仲間を信じていた。「ブルペンは、みんな良い仕事をしてくれる」。5-0の7回2死一、三塁で日本ハム田中賢に二ゴロを打たせたが、ナバーロが捕り切れず、ついに失点。頭を下げるナバーロに「大丈夫だ」とばかり手を上げ、マウンドを去った。後を託した益田が1球で中田を仕留めると、ベンチ最前列で出迎えてハグした。

 酷な環境だった。秒速10メートルを超すマリンの風に、たびたびバランスを崩す。それでも「気にせず投げた」と泣き言はなし。7回まで毎回走者を背負うも、粘り腰。勝因を聞かれ「田村が良いリードをしてくれた」と、女房役を持ち上げた。

 気遣いを忘れない右腕が、激しく動揺することがあった。熊本地震で、去年まで住んでいた九州が甚大な被害に見舞われた。車に避難する人たちに「ご飯を食べる家がないなんて…」と絶句。チームが19日から試合前に募金活動を始めると、当然のように立った。ただ、球団と選手会も寄付を行ったが、外国人選手は選手会に属していない。もちろん、選手会に他意はないと理解しているが「一緒に寄付できず残念だった。(選手会長の)岡田には『次は僕にも声をかけて欲しい』と伝えた」と打ち明けた。東日本大震災の復興支援を続けている。熊本にも何かできないか、福岡の友人と連絡を取り合っている。

 お立ち台では「チームの可能性を信じて、一丸で頑張っていきたい」と締めた。真意は「1人1人が『ホークスより強い』と思えば、巨大戦力にも立ち向かえる」だ。古巣の強さを知るからこそ、偽りのない言葉だった。【古川真弥】

 ◆マイナスゲーム差メモ 順位は勝率で決めるため、試合消化数や敗戦数の関係で首位より貯金が多くて2位のケースがある。最近では12年4月24日のパ・リーグで見られる。12年は首位ロッテが11勝6敗1分け、勝率6割4分7厘に対し、2位日本ハムは14勝8敗、勝率6割3分6厘。貯金はロッテより日本ハムが1個多かったが、勝率はロッテが上で、日本ハムはマイナス0・5ゲーム差の2位だった。