ぐるぐると回る試合展開を手中に収めることはできなかった。楽天が5日、ロッテに8-15で敗れ、今季初の同一カード3連勝はならなかった。4番ゼラス・ウィーラー内野手(29)が満塁弾を含む自身初の1試合2本塁打を放つなど6打点の大活躍。点を取っては取り返すというシーソーゲームで観客を喜ばせるも、1点リードの9回に登板した守護神松井裕樹投手(20)が自身ワーストタイの6失点と崩れて今季初黒星となった。

 観覧車のゴンドラを揺らす強風が、試合をも揺らした。梨田監督は「今日は風が強かった。ゲームの流れも楽天に来たり、ロッテに行ってしまったり。最後は向こうに吹いてしまった」と淡々と振り返った。

 立ち上がりは無風だった。序盤はブリガム対今季不敗のロッテ涌井の投げ合い。先に追い風が吹いたのは楽天。同点の4回無死一塁、前日4日にソロを放った4番ウィーラーの一振りだった。139キロ外角低めの球を捉える。打球は風に乗り、左翼への逆転2ラン。「結果が出てうれしかった」とひっくり返した。

 ここから嵐となった。同点に追いつかれた後の7回だった。2番手福山がロッテ中村へ頭部死球で危険球退場。3番手の青山が緊急登板するも1死満塁とする。打者デスパイネへの6球目だった。詰まらせた打球は、左翼方向へと力なく上がる。だが、打球を追う左翼手松井稼と遊撃手茂木が譲り合い、まさかの落球。「追いすぎてしまった。ぎりぎりで稼頭央さんの声が聞こえて、あそこまでいったら僕がいけばよかった」(茂木)と失点。犠飛も加わり2点差をつけられた。

 だが上昇気流に乗る男が再び魅せる。7回2死満塁でウィーラー。ロッテ益田の147キロ内角高めの直球をまたしても捉えた。観覧車が待つ左翼スタンドへ一直線。逆転満塁弾は「悪い流れを変えたかった。今日は子供がたくさん見に来てくれている」とこいのぼりよりも高くぶち上がった。同点とされた8回には松井稼の勝ち越しソロ。楽天に風は吹いているはずだった。

 9回、松井裕がまさかの救援失敗。6失点でベンチでうなだれた。最後に吹いた突風。2勝1敗と勝ち越したはずの空気すら吹き飛ばした。梨田監督は「ソフトバンク戦は気持ちいい人は持続して、打たれた人は切り替えて、新たな気持ちでいってもらいたい」と話した。ぐるぐる展開が回った試合。敵地で風向きを変えるしかない。【島根純】