広島エルドレッドが2本のアーチを描き、巨人を打ち砕いた。まずは4回だ。内海が2球続けた外角球の後に投じた内角直球をたたき、左中間席に13号ソロ。トドメは8回。戸根の甘くなったチェンジアップを弾丸ライナーで左中間スタンドを通過し、防球ネットを突き刺した。三塁打が出ればサイクル安打も「ノーチャンスだ。三塁打よりも本塁打の方がうれしい」と今季3度目の1試合2本塁打に笑顔だった。

 2回は、右中間二塁打で先制打をお膳立て。豪快な1発だけでなく、中堅中心に打ち返すコンパクトな打撃が今季の特徴でもある。「いいスイングができている。どう攻めて来るか理解しながら入れている」。来日5年目。日本人投手のデータ、配球のパターンは頭にある。2度目の4安打固め打ちで打率3割7分8厘。首位打者に浮上した。

 スタンドには昨年8月23日巨人戦でホームランガールを務め勝利の女神となった母シンディさんと父ジムさんが見守っていた。両親に贈る2本塁打での勝利は「格別な喜び」となった。

 巨人を倒し、貯金は今季最多5で首位を死守した。緒方監督は「中心打者として打線を引っ張ってくれている」と大砲に大きな信頼を寄せた。【前原淳】

 ○…ジョンソンが2戦連続の完封勝利でハーラートップの6勝目を挙げた。低めを丁寧につく投球で巨人打線をほんろう。右打者の内角へのカットボールを有効に使った。高校時代に2戦連続無安打無得点試合を達成したと笑いながら「ゼロで抑えられてよかった。とにかく試合終盤まで投げきってやろうと思ったよ」と話した。

 ▼ジョンソンが17日ヤクルト戦(マツダ)に次いで完封勝利。2試合連続完封勝利は4月6、13日菅野(巨人)以来だが、広島では99年5月26日巨人戦(福岡ドーム)6月2日ヤクルト戦(仙台)の紀藤以来、17年ぶりの球団最長タイ記録。マツダスタジアムでは初となる。外国人投手で2試合連続完封は14年メッセンジャー(阪神)以来で、広島では初めて。