広島丸佳浩外野手(27)が4安打4打点と快音を響かせた。6回に試合を決める10号3ランを右中間へ運び、これで自身4年連続の2桁本塁打とした。「こだわりの男」が調子を取り戻し、4番に入った松山も5号ソロで続いた。緒方孝市監督(47)もにっこり。貯金6の首位で交流戦へ。赤いうねりがパ・リーグものみ込む!

 焼き目のバットが、外角高めの146キロをつかまえた。丸の打球音を聞いた瞬間、DeNA山口は視線を土の方へ落とした。それほど完璧な当たりだった。横浜スタジアムの半分を赤く染めた大歓声を受けながら、打球は右中間スタンド中段に着弾した。1点リードの6回無死一、二塁から10号3ランをぶち込んだ。

 「手応えはあった。後ろ(の打者)にと思っていた。ここのところよくなかったけど、いいきっかけになってくれればと思う」

 バットのグリップには「C9 B」と刻まれている。「C9」はカープの背番号9。「B」はバットの型が入団から何回変わったかを表す。プロに入って1本目の型が「A」。多くの選手は、太さや重さ、グリップの大きさをシーズンや調子に合わせて細かく変更。「H」や「J」が刻まれている。丸は入団から9年目で型が1度しか変わっていない。それもグリップエンドを少し太くしただけだ。

 「調子が違うと同じバットでも軽く感じたり重く感じたりする。ずっと一緒だから分かることがある。その違いが分かりたい。根底の感覚をとぎすませたい」

 根っからの職人肌。そんな男が踏み切ったからこそ、フォーム改造にも意味があった。ここ3戦は無安打と調子を崩していたが、打撃練習のルーティンも同じだった。決めたら徹底する-。昨季6月23日阪神戦(長野)以来の1試合4安打で感覚を取り戻した。本塁打以外の3安打はすべて逆方向へ流し打った。

 丸の1発の直後には、松山が5号ソロで続いた。交流戦前最後の試合を奪い、貯金6の首位で交流戦へ入る。緒方監督も「丸が4打点。ここ数試合内容がよくなかったが、いい攻撃をしてくれた」と目を細めた。さあ交流戦! 丸がビッグレッドマシンガンのトリガーを引く。【池本泰尚】