阪神のドラフト5位ルーキー青柳晃洋投手(22)が、何度も訪れたピンチを乗り切った。最大の危機は3回。3連続四死球から1死満塁とした。だが、青柳は動じず4番ウィーラーを外角スライダーで空振り三振。続く銀次を遊ゴロに取った。5回3安打1失点。5四死球を与えたが、プロ初勝利を手にした。阪神では14年岩崎以来となる初登板での白星。先発の右投手に限れば59年村山実以来の快挙だった。

 「(昨日)言われた時から緊張してました。緊張が早かったのでマウンドでは冷静になれたのかなと思います。チャンスだったんでなんとかものにできたなと思います」。プロ初登板で初先発。横山が左肩に違和感を訴えたため、代役として急きょチャンスがきた。

 「クオータースロー」と名付ける横手投げ。小学6年時、コーチの助言で取り入れた。「野球をやっている中で、この投げ方は誰よりも長いという自信はある」。捕手の原口が捕逸するほど、手元で揺れて落ちる140キロ台のツーシームを軸に相手打線を惑わした。金本監督も「バッターの打ちにくさに期待して出した。5回1失点、十分ですね」と評した。

 この日は、平日にもかかわらず地元の神奈川から、家族と友人が応援団を結成し駆けつけていた。「母、兄、父、もう全員来てます」。初勝利の記念ボールは「もちろん母親にあげますよ」。

 家族だけでなく、チームも喜ばせる勝利だった。連敗を止め、勝率5割復帰。リーグ4位浮上。6月を上昇の月にするために必要な、若虎がまた台頭してきた。【梶本長之】

 ◆青柳晃洋(あおやぎ・こうよう)1993年(平5)12月11日、神奈川県生まれ。川崎工科から帝京大。3年時に右肘を手術したが、4年秋にリーグ最多の6勝を挙げた。15年ドラフト5位で阪神入り。今季ウエスタン・リーグでは、11試合で2勝1敗、防御率2・81。181センチ、79キロ。右投げ右打ち。

 ▼ルーキー青柳が初登板を白星で飾った。新人の初登板初勝利は今季4人目で、阪神では14年4月2日岩崎以来、2リーグ制後9人目になる。青柳はドラフト5位で入団。ドラフト制後、初登板初勝利の新人は86人目となったが、ドラフト外入団の81年小野(西武)を除くと、指名順位が5位以下は7人だけ。過去6人のうち5人は救援勝利で、ドラフト5位以下の新人がデビュー戦で先発勝利は同じ阪神の14年岩崎(6位)に次いで2人目だ。