巨人菅野智之投手(26)が、7回1失点の好投で5勝目を挙げた。7回に33イニングぶりの自責点を許したが、最速152キロの速球を軸に、多彩な球種で翻弄(ほんろう)。鋭い視線からの洞察力で的を絞らせなかった。オリックス3連戦は、阿部らベテランの復活劇で連勝を飾って、この日はエースの5月5日広島戦以来となる白星で今季初の5連勝。2失策の坂本勇人内野手(27)は、汚名返上の12号3ランで援護した。

 目をぎらつかせながら、心と頭は冷静だった。7回、1点を奪われ、なおも1死一、二塁。カウント1-2から、菅野が勝負球に選んだのは、125キロのパワーカーブだった。粘っこさが武器の中島を泳がせ、投ゴロ併殺。バチンッとグラブをたたき、7回1失点でマウンドを降りた。

 菅野 カットのうまい打者なので、カットしてくるだろうなと。大きな変化は(バットの)ヘッドがかえって、やりづらいというのが僕の持論。いいところでカーブを投げられた。

 同い年の中田との勝負でも、その眼力が光った。1回2死一塁、4球オール速球勝負で空振り三振を奪った。「(変化球を)マークしてるだろうなと。僕の場合、(決め球は)スライダーというデータがあると思うので」。進化した速球への自信と相手の思考を察知。単なる力勝負ではなく、6回の3打席目はパワーカーブで空を切らせた。

 洞察力は、日々のルーティンから磨き上げた。4勝目を挙げた5月5日の広島戦、自宅で録画を見返した。リモコンを持つ手が止まったのは7回2死二塁、天谷に2ランを浴びた直前のボール。外角高めのワンシームを空振りしたが、明らかな内角狙いのスイングだった。「前兆を感じられなかった僕の責任」。直後に150キロの内角速球を右翼席に運ばれたが、結果より見抜けなかった目を責めた。

 約1カ月ぶり白星にも、チームの今後を見据える目が言葉ににじんだ。「最低8回とは…。連投が続いていたのに、中継ぎの方を休ませられなかった。今度は」と力を込めた。オリックス3連戦は阿部、内海、大竹とベテランが活躍。この日はエースが今季初の5連勝をけん引。打点を挙げた坂本、長野と合わせ、高橋監督が挙げた「一新」を担う猛者5人が出そろった。【久保賢吾】

 ▼菅野が5点の援護を得て勝利。最近の登板3試合では援護点が1点しかなく、今季の援護5点以上は4月13日ヤクルト戦の8点以来2度目。チームの1試合5得点以上は5月14日ヤクルト戦(7-1)以来16試合ぶりだった。これで菅野は入団4年目で通算40勝目。ドラフト制後、巨人の投手が4年目までに40勝したのは堀内恒夫、江川卓の各3年、桑田真澄、上原浩治の各4年に次いで5人目。