逆襲へ、会心の号砲を鳴らした。日本ハム陽岱鋼外野手(29)が、リーグ戦再開初戦で2本塁打と爆発した。オリックス戦で1回に左翼席へ先制2ラン。3回には左中間席へ3ランを放った。2打席連発は3年ぶり2度目。5打点もプロ入り最多タイで、今季4度目の2ケタ得点での快勝の導火線になった。交流戦明けの初戦を快勝で飾り、3連勝。首位ソフトバンク追撃へ、再スタートを切った。

 雨空へ、アーチをかけた。陽岱鋼が逆襲の快音を奏でた。1回1死二塁。バットを折りながらも、白球にパワーを乗せる。「あんなにバットが折れたのは初めて」。執念は左翼席へ届く。先制2ラン。1点を返された直後の3回は1死二、三塁。左中間最深部へ完璧な3ランを、ぶち込んだ。3年ぶり2度目の2打席連発に、自身最多タイ1試合5打点と暴れた。「まずは1試合1試合やっていきたい」。控えめな言葉とは対照的なド派手な仕事。両軍28安打の乱打戦を制す力になった。

 永遠の野球少年の心が、第一線を走り続ける今を支える。来年1月で30歳、今季でプロ11年目を迎えた。日本球界でも一目置かれるスター選手とされる1人。故郷の台湾ではプロスポーツ界NO・1の人気、支持を誇るカリスマでも、素顔は不変だ。5月18日ソフトバンク戦。敵地で、練習中のライバル球団へ単身で突撃した。標的は、内川。面識はほぼないが、頭を下げてお願いした。身ぶり手ぶりを交え約5分間、打撃論を伝授してもらった。

 プライドを捨てられる理由は、純粋でシンプルだ。「だってオレ、もっと野球うまくなりたいから」。昨年3月の巨人とのオープン戦、当時現役の高橋監督にも教えを請うた。巨人OB木田GM補佐に橋渡しをしてもらった。「肘の使い方とか参考になった」。親交がなく、敷居が高い天才打者の思考を共有。なりふり構わず吸収し続ける姿勢が、この日の最高の仕事に生きた。反攻へ、希望の灯をともした。【高山通史】

 ▼日本ハムが16安打10得点で、12安打8得点のオリックスとの打撃戦を制した。2桁安打は今季25試合目で、3月29日オリックス戦と4月15日ロッテ戦で記録した17安打(2試合とも13得点)に次ぐ安打量産となった。2桁得点は5月29日楽天戦の12得点以来で、今季4試合目。