これが生みの苦しみか。広島が好機を逃し続け、サヨナラ負けを喫した。巨人を上回る8安打を放ちながら12残塁。3者凡退は3回と延長10回だけ。9回無失点と力投した先発ジョンソンを援護できず、対照的に最後は延長10回に巨人脇谷に一振りで決められた。試合後、緒方監督は意外にも敵ヒーローの名を挙げ、ハッパを掛けた。

 「脇谷選手が教えてくれた。集中力を持って一振りで決める。一番上に立つなら、あのメッセージをうちの選手が受けとめるか。あの集中力を持っていたら、得点出来ていた。教えてくれたんじゃないかな」

 引き分けでも優勝マジックが点灯する試合だった。東京ドームは巨人ファンで埋まり、試合開始前から独特の雰囲気が漂っていた。石井打撃コーチは「空気が重かったよね。選手は一生懸命やっているから責められないけどね」。選手にとって初めて経験する優勝へのステップが重圧となったのかもしれない。

 ただ、圧倒的に有利な状況は変わらない。「投手、野手とも全力を出し切った試合。接戦に勝てなかったのは、自分の責任。もう1つ策がなかったか、反省している」と緒方監督。今日24日こそ25年ぶりのマジック点灯、そしてその先の歓喜へ。反省、修正を繰り返し、緒方カープは強くなった。意味のない負けにはしない。【池本泰尚】