25年ぶり優勝へ、どかーんと前祝いじゃ。本拠地での胴上げを狙う広島が、中日3連戦の初戦で快勝した。新井貴浩内野手(39)が3回に18号ソロを放つなど2安打1打点で「神っている」打線を引っ張った。自力でM3として、早ければ明日8日、広島のファンの前で緒方監督が宙を舞う。

 迷いはなかった。三塁走者新井はエルドレッドの三ゴロに判断よくスタート。捕手の動きを瞬時に判断し、体をよけてスライディング。左手1本でベースを払った。2回無死一、三塁から先制点を奪う激走だった。試合後の取材では、質問が出たことにむしろ驚き「普通のプレーでしょ」。高い意識がチームに浸透している。強いチームを4番が引っ張っている。

 主砲のハッスルはそれだけにとどまらない。3回には2死からバックスクリーンに18号ソロをぶち込んだ。カウント2-2からの5球目。中日大野の代名詞内角直球に、体がねじ切れんばかりに回転。フルパワーを打球に授けると、勢いそのままバットを投げ捨てた。「うまく回転できた」と振り返る1発。07年以来の20本まであと2本、10年以来の100打点まであと3打点に迫った。

 好調を維持し続ける39歳。「石井(打撃)コーチのおかげです」と言った。「肩が入り過ぎているぞって言ってもらいました」。新井自身では気づけていないポイントだった。シーズン中、石井打撃コーチの一言が新井を助けてきた。「あれ、と思うところをすぐに言ってくれる。助かりますね」。的確な助言と信頼関係が支えている。

 9回の守備中ではゴロをさばいた際に「腰が抜けたような感じ」の違和感が出たため大事をとって途中交代。ベンチには両手で「○」をつくってサインを送っていたが、緒方監督に呼び寄せられて退いた。「大丈夫。監督が無理するな、って言ってくれたから」。満身創痍(そうい)だが、1減った優勝へのマジック3がうれしい。最短Vは明日8日。地元胴上げの可能性をつなげた。「大歓声に勢いをもらってる」。新井はりりしく前を向いた。【池本泰尚】

 ▼広島が勝ち、優勝マジックナンバーは3。巨人が勝ち、最短優勝は8日に延びた。2リーグ制後の最短優勝決定日は90年巨人の9月8日。