東海大北海道が北海学園大を9-2の8回コールドで下し、開幕8連勝で初の2季連続優勝を決めた。主戦の水野滉也投手(4年=札幌日大)が7回1/3を4安打2失点(自責0)13奪三振で、今季5勝目をマーク。打っては1点差に詰め寄られた2回に、新井章太捕手(3年=北海道大谷室蘭)の公式戦初本塁打となる2ランで突き放した。20日、道都大が北大に敗れたため、全日程終了を待たずに優勝が確定。10月1日からの明治神宮大会北海道地区代表決定戦で、初の代表切符獲得を狙う。

 立ち上がりの不調を、我慢強く修正した。先頭から2者連続四球を与えた1回、失策絡みで無安打ながら1失点。「体のキレが悪く球速が落ちてきたのが分かっていたので、腕を振ることを大切に投げた」。弱気は見せない。今季ドラフト候補の横手右腕は、序盤の失点にも表情ひとつ変えず、7回まで毎回の13三振を奪って見せた。

 絶好調だった春とは、ひと味違う。今秋、無安打無得点を達成した8月28日の北海学園大戦から、シュートの割合がぐっと増えた。「それまではスライダーとフォークボールで抑えられていたけど、もっと内角をうまく突くことができればと思って」。この日の最速は141キロ。日米大学野球で日本代表を経験した右腕は投球の幅をぐっと増やし、ネット裏に集まったプロ5球団のスカウトの前で、大人の投球を見せた。

 チームは開幕から8連勝で、一気に初の春秋連覇へ駆け上った。昨秋は逃しただけに、高橋葉一監督は「昨秋は油断があったわけじゃないけど、調整の部分で見誤った。同じ失敗はしたくなかった」と感慨もひとしおで「水野がリーダーとしてしっかりしてくれたことで、投手陣の底上げができた」と、すっかり独り立ちしたエースに最敬礼だ。

 6月の全日本大学選手権では、準々決勝で敗退。「全国で日本一を目指すためにやってきた」と言う水野が狙うのは、チーム初の明治神宮大会出場、そして全国舞台での頂点しかない。【中島宙恵】