西武の次期監督候補に、OBの辻発彦氏(57)が浮上していることが21日、明らかになった。辻氏は西武の黄金時代を支える二塁手として活躍し、引退後はヤクルト、横浜(現DeNA)でコーチを歴任し、現在は中日の作戦兼守備コーチを務めている。西武はこの日のオリックス戦に敗れ、3年連続のBクラスが確定した。チームを立て直す指揮官として、辻氏の手腕に期待を寄せる。シーズン終了後に就任を要請することになりそうだ。

 西武は、辻氏に守備面の立て直しを期待している。今季はチーム打率はリーグ2位の2割6分6厘の好成績を残す一方で、失策数はリーグワーストの97(ともに21日現在)。守備の乱れが低迷の一因となった。後藤オーナーも、12日のオーナー会議出席後、チームの再建に向け「エラーが多い。ひと言で言えば、球際の強さなんだろうと思ってる。そこをしっかりやっていくことだと思っている」と強調していた。

 辻氏は現役時代、二塁手として8度のゴールデングラブ賞を受賞。80年代後半から90年代前半まで、守りの名手として西武の黄金時代を支えてきた。引退後はヤクルト、横浜、中日でコーチを歴任してきた。06年にはWBC日本代表のコーチも務めるなど、指導者としての経験も十分に持つ。立て直しに最適の人材と判断した。この日のオリックス戦でも、勝ち越しを許した8回の3失点に失策が絡んだ。3年連続となるBクラスが決まった試合後、鈴木球団本部長も「投手を含めた守りがBクラスになった理由でしょう」と敗因を分析していた。

 すでに田辺徳雄監督(50)は今季限りで退任する意思を固めており、球団はここまで外部招聘(しょうへい)も含めてリストアップを続けてきた。リーグ終了まで残り6試合となり、候補を絞り込んだ。

 同本部長は次期監督について「シーズンが終了してから。順番を間違ってはいけない」と一貫している。辻氏は現在、中日のコーチを務めていることもあり、就任要請は今季の全日程を終えてからになる。西武、中日ともに最終戦は28日の予定となっている。

 3年連続Bクラスという屈辱からの脱却は、黄金期を支えた守備の職人に託すことになりそうだ。

 ◆辻発彦(つじ・はつひこ)1958年(昭33)10月24日生まれ、佐賀県出身。佐賀東から日本通運を経て83年ドラフト2位で西武入団し、二塁手として活躍した。87年の日本シリーズでは中前打で巨人クロマティが山なりの返球をすると、一塁から長駆ホームインする日本シリーズ史上に残る好走塁を披露した。96年にヤクルトへ移籍。通算成績は1562試合に出場し打率2割8分2厘、56本塁打、510打点。99年に現役引退後はヤクルト、横浜、中日でコーチ。06年WBCでは日本代表の内野守備走塁コーチを務めた。右投げ右打ち。182センチ、78キロ。