ラミチャンス打線のど真ん中に座る主砲が、夢をつないだ。DeNA筒香嘉智外野手(24)が41号満塁弾、42号ソロと今季9度目の「マルチ(複数)本塁打」でド派手にけん引。チームも6本塁打、2ケタ17安打と爆発し、巨人とのCS前哨戦に圧勝した。借金1と勝率5割は目前で、2位巨人とは2・5ゲーム差。初のクライマックスシリーズ(CS)出場を決めた勢いで、本拠地・横浜スタジアムでのCS開催へ突っ走る。

 失うものはない-。筒香がぶちかました。1点リードの7回2死満塁。巨人宮国の失投を見逃さない。初球の低めのスライダーを持ち上げた。「みんながつないでくれたおかげで打つことができました。2位になるため負けるわけにはいかない」。気持ちが乗り移った打球はどんどん加速する。バックスクリーン右まで悠々と運ぶ、41号グランドスラムで勝負を決めた。

 「久しぶりにまん振りしていきます」。CS出場を決めた主砲は全開を宣言していた。大量リードを奪った9回。今度はプロ初登板のルーキー中川が投じた内角高め144キロ直球を左腕一本で左翼席まで押し込んだ。「初めての投手なんで考えてもしょうがない。反応です」。リーグ本塁打トップの42号ソロは、今季9度目のマルチ弾。2位を争うライバル巨人に破壊力の違いを見せつけた。

 主砲を中心にラミチャンス打線が火を噴いた。3回に2番に上がった梶谷が16号2ラン。ロペスは2本塁打、白崎も6号決勝ソロ。主軸の脇をがっちり固める強力打線が2ケタ17安打12得点と爆発した。東京ドームの最終戦を逆転勝ちで飾り、ラミレス監督は「試合をひっくり返しての勝利。大きな1勝になった。日本一の打者がうちのチームにいてくれて良かった」と満足げに振り返った。

 最大のアドバンテージを得るチャンスは残る。今日24日の巨人との最終戦を含め、今季は残り3試合。2位になればCSを本拠地・横浜スタジアムで開催できる。筒香は「2位は諦めていない。また、あの満員のファンの前でプレーができれば僕たちにとって、計り知れない力になる」と話す。三浦が引退登板する29日のヤクルト戦で2位が確定する可能性もある。番長の花道をさらに華やかに飾れる。筒香は「もちろん、そのつもりです」。ラミレス監督も「ここ(東京ドーム)に戻ることが目的ではない。戻って戦うことはプランBだ」と断言した。

 Aプラン=夢プランが広がる。今のDeNAに怖いものなど何もない。【為田聡史】

 ▼筒香が7回に41号満塁、9回に42号ソロ。筒香の満塁弾は15年8月28日広島戦以来通算3本目で、1試合2本以上は今季9度目。マルチ本塁打のシーズン最多回数は85年のバース(阪神)と落合(ロッテ)13年バレンティン(ヤクルト)の11度で、9度は02年の松井(巨人)とローズ(近鉄)に並ぶ6位タイとなった。また、この日のDeNAは筒香の2本を含む6本塁打。DeNAの1試合6本以上は06年6月2日の日本ハム戦以来となり、巨人戦で6本は68年8月21日に7本を打って以来、48年ぶり2度目だ。

 ▼今季のDeNA-巨人戦はDeNAの13勝10敗1分け、勝率5割6分5厘。東京ドームでは3勝6敗1分けで勝率3割3分3厘も、横浜スタジアムに限ると8勝4敗、勝率は6割6分7厘にアップする。横浜では4度の3連戦があり最初の3月29~31日は1勝2敗と負け越したが、最近3カードは勝ち越し、3連勝中だ。