CSで発散じゃあ!! 広島が2日、今月12日から始まるCSファイナルステージへ向けて再始動した。鈴木誠也外野手(22)は打撃練習に志願して参加した。前日「1番右翼」の起用に応えられず、4打数無安打に終わった結果が、練習に駆り立てた。飛躍のシーズンも、最後に味わった悔しさが、日本一を目指す短期決戦への糧となる。

 鋭い弾道の打球がワンバウンド、ツーバウンドして左翼フェンスをたたいた。迎打撃コーチ補佐が投じる山なりの球を鈴木は力強く打ち返した。

 「昨日(1日)良くなかったので、一から修正して、いい状態に持っていければ」

 レギュラー組は自由参加だった打撃練習で、直訴して緩い球を打ち続けた。

 前日1日、レギュラーシーズン最終戦は「1番右翼」で先発出場した。第1打席は快音を残すも、高く上がった打球は中堅手のグラブに収まった。5打数5安打が逆転首位打者への条件だっただけにその可能性が消え、2打席目以降は「本塁打を狙いに行った」。凡打を繰り返し、7回の4打席目は見逃し三振。「やってはいけない打席だった。『終わりよければすべて良し』と言うけど、終わりが悪かったので納得できないシーズンに感じられた」。自己最多129試合に出場し、全打撃成績で自己ベストを記録するも、胸の中は悔しさで充満している。

 リベンジの舞台が待っている。12日からのCSファイナルステージ。試合の間隔が空いた9月末から「もうキャンプのつもりでやっている」とスイング量やウエートトレーニングを増やしている。

 CSには14年、阪神とのファーストステージ第2戦(甲子園)に初出場した。「7番右翼」で先発出場も、5打数無安打。7回1死満塁の好機では三ゴロに倒れた。苦い記憶は翌年まで頭から離れなかった。2年ぶりのCSまで10日を切った。緒方監督は「個々がしっかり調整してくれればいい。シーズンを通した戦いができるように。天候とかいろいろな状況があるが、すべてが経験になる」とナインに全幅の信頼を寄せる。鈴木も「2年前よりも試合に出してもらっていますし、落ち着いてできると思います」と胸を張る。次なる戦いへ、早くも緒方広島が力強い1歩を踏み出した。【前原淳】