ドラフト候補左腕の笠原祥太郎(新潟医療福祉大4年)が“恵みの雨”の恩恵を受けた。作新学院大戦に先発登板。初回に満塁本塁打を浴びたが、直後に中断し、雨天ノーゲームになった。この日の投球内容は2/3を投げて25球、1三振。2四球の2安打4失点。試合はきょう9日にスライド順延された。

 降り続く雨が激しくなった。1回裏2死満塁の場面だ。悪条件のマウンドで、笠原が作新学院大・野沢拓己(3年)に投じた25球目。直球が真ん中に甘く入り、完璧にミートされた。左翼への満塁本塁打だ。ところが、手痛い満塁弾は“幻の本塁打”。直後に試合は中断し、そのまま雨天ノーゲームになった。ユニホームに染み込む冷たい雨が、温かい味方になった。

 「調子は良かった。ボールが甘くなったところは、修正したい」と痛打された笠原は前向き思考。平静な表情にも、ダメージはなかった。佐藤和也監督(60)も「最近、調子を落としていたが、球の勢いは戻ってきた」と言う。この日の最速は、球場表示で143キロ。「この球場は2~3キロ低く表示されるから、もっとスピードは出ていただろう」と指揮官は話した。

 20日に開かれるドラフト会議の指名候補。創部4年目の新潟医療福祉大からプロ野球選手が誕生するかどうか。地元の期待と関心は高まっている。だからこそ、最速147キロを誇る笠原の左肩にかかる重圧は、ズシリと重い。「試合では意識しないようにしているけれど気になる」という言葉にも強い意識がうかがえる。

 春季リーグは7試合50イニング投げて6勝0敗。64三振の防御率0・72。そんな快投を、大学最後の秋はまだ演じていない。「注目される中での投球はつらいだろうが、乗り越えてほしい」とは佐藤監督。ドラフト会議まで2週間を切った。笠原は「持ち味の力強い直球を見せたい」とリーグの勝ち星とドラフト指名を快速球で勝ち取る構えだった。【涌井幹雄】