福島大が石巻専修大(宮城)に7-3で勝ち、11年秋以来10季ぶり9度目の優勝を果たした。2-2の6回裏1死二塁、益子弦捕手(4年=水戸商)が二塁走者をサインプレーで刺して流れを呼び込むと、7回表2死満塁に5番善方裕隆外野手(2年=須賀川桐陽)が勝ち越し中越え三塁打を放った。明治神宮大会の出場がかかる22日開幕の東北地区代表決定戦(仙台市民)の初戦は、北東北大学野球リーグの富士大(岩手)と対戦する。

 大学ラストシーズンでの優勝の味は、格別だった。曇天の空に何度も胴上げされた益子は、晴れ晴れとした表情で喜びをかみしめた。「今まで優勝争いもしたことなかった。チームに残って出て後輩の出番を奪ってしまっている以上、絶対に負けられなかった」。南東北リーグでは4年春での引退が通例の中、卒業後も野球を続ける予定の加藤颯太内野手(4年=竜ケ崎一)とともにチームに残った益子が最上級生の意地を見せた。

 守備から流れを呼び込んだ。2-2の6回裏1死二塁。リードの大きい二塁走者を、とっさの二塁けん制でアウト。続く四球で出した走者の二盗も刺した。益子は「打てなくても守備で貢献したかった」と、今秋4勝0敗のエース右腕・渡辺晃太(2年=安積黎明)を必死にもり立てた。

 4年生の懸命なプレーに下級生が応える。7回表、益子が四球で粘って2死満塁。5番善方が左中間を破る走者一掃の決勝三塁打。「先輩がつないでくれた。4番にデンと座っていてくれる大きい存在です」と“益子効果”を強調した。

 卒業後、益子はBCリーグ福島ホープスに入団予定だ。昨年8月に開催された東北地区3連盟のオールスターに出場し「このレベルでやりたいと思った。実際に出てみて現実味がわいた」。自分の力を試す意味でも、22日の富士大戦は負けられない。「相手が上なのは分かっている。どれだけ守れるか。あと2つ勝つまで終われない」。負けたら引退の一戦。先発唯一の4年生として、チームを引っ張る。【高橋洋平】