新潟県内大学から初のドラフト指名選手が誕生した。プロ野球ドラフト会議が20日、行われた。新潟医療福祉大の左腕笠原祥太郎投手(4年=新津)は中日に4位で指名された。創部4年目の同大からも初の指名。12球団OKの表明をしているため、入団は確実だ。新興勢力の同大、そして県の大学野球にとっても快挙になる。

 表情がようやく緩んだ。指名後の記者会見を終えた笠原は、チームメートが待つ室内練習場に入った。扉を開けると大歓声と大きな拍手に包まれる。胴上げ、肩車と祝福のセレモニーが続く。「びっくりしました。4位といういい順位。うれしいです」。中日の指名に素直に喜ぶと「行きます」とさっそく入団の意思を示した。

 午後5時30分に通常通りの練習を終えた。野球部の公式ブレザーに着替えてクラブハウスの別室で中継を見ていた。午後6時23分に名前が呼ばれると、緊張がほぐれる。

 「中日は小笠原(慎之介)投手など、若い選手を使ってくれるイメージがある。負けないように力をつけたい」。同じ左腕で昨季のドラフト1位のホープを名指しでライバルに挙げる。そして「対戦したい打者は山田哲人さん(ヤクルト)」。トリプルスリー達成の球界最高峰打者も相手に指名する。自慢の最速147キロの速球と同じように、見据えるターゲットの設定も素早い。

 佐藤和也監督(60)は「コツコツと努力してきた。これからもそれを続けて大きくはばたいてほしい」と期待をかける。笠原には県内の大学、新潟医療福祉大初のプロ野球選手になるというプライドがある。一般入試で入学し、創部当時は関甲新学生野球3部からスタート。冬場にはアルバイトをして遠征費を稼ぐなど、首都圏のチームとは異なる環境で腕を磨いてきた。

 チームは今年の春季リーグで2位。自身はベストナインと、自らの成長とチームの実力アップを重ね合わせてきた。「後輩にも続いてほしい」。目標の存在になる1歩を踏み出した。【斎藤慎一郎】

 ◆笠原祥太郎(かさはら・しょうたろう)1995年(平7)3月17日、新潟市生まれ。結小2年のときに荻川スポーツ少年団で野球を始める。新津二中、新津高と投手。高3の夏の県大会は2回戦で敗退。新潟医療福祉大に進み、2年生の秋季リーグの群馬大戦でノーヒットノーランを達成。今年の春季リーグでは6勝、防御率0・72で最多勝、最優秀防御率を獲得し、ベストナインに選ばれた。好きなプロ野球選手は西武菊池雄星。177センチ、85キロ。左投げ左打ち。血液型A。