午後6時30分。宮崎・南郷の選手宿舎に、西武の選手を乗せたキャンプ地からの最終バスが着いた。

 「今日はハードでしたね」。多くの選手が口をそろえる。辻発彦監督(58)就任後初のキャンプは、第1日から指揮官が求めていた通り「野球漬け」になった。

 辻監督は午前8時すぎに宿舎の玄関に現れたが、そのまま早出組の球場行きバスを見送った。自らは徒歩で球場へ。「歩くのは嫌いなんだよね」と、ホテルの敷地から出るなり、ランニングに切り替えた。

 直線距離なら約3キロだが「短すぎる」とあえて遠回り。結果として約6キロの道のりは、アップダウンの激しいコースになったが、イヤホンで音楽を聴きながら淡々と走りきった。

 キャンプ地に着いた後も走り回った。愛用のグラブ、あるいはノックバットを手にし、守備や打撃、そしてブルペンとあらゆるメニューに顔を出した。そして熊代の打撃練習、山川の守備練習などを直接指導したりもした。

 メイン球場とサブグラウンドの間には、135段の階段がある。ここを2・5往復、計675段を移動した。気がせくのか、朝のランニングの疲労も感じさせない軽い足取りで、階段を駆け上がる場面もあった。

 午後5時すぎ、ようやくホテル行きのバスに乗り込んだ辻監督は「投内連係なども締まっていたし、いい感じでした」と満足げに話した。ちなみにランニング中に聴いていた音楽は、絢香の曲だったという。