前向きな「2年目のジンクス」を信じる。楽天が17日、岡山・倉敷市内のマスカットスタジアムで行っていた秋季キャンプを打ち上げた。梨田昌孝監督(63)は17日間の練習を振り返り、85点と評価。故障者が複数出たことや投手陣で若手のアピールが出なかったことを減点対象に挙げたが、基礎体力の強化ができたと手応えを口にした。過去に指揮を執った2球団では就任2年目にリーグ制覇。二度あることは三度あると吉兆を胸に、オフを迎える。

 キャンプをやり遂げた充実感からか、梨田監督の口はなめらかだった。「僕は(就任)2年目に優勝を2回している。二度あることは三度あると言い聞かせて、そこに選手もついてきてほしい。外国人選手も、ドラフトでの補強もある程度できた。優勝争い、優勝できるチームになってほしい」と白い歯がこぼれた。胸に忍ばせていた吉兆。近鉄、日本ハムと指揮を執った2球団と同じような流れがあると力強く言い切った。

 掲げた目標はおおむね成し遂げた。今キャンプのテーマは「殻を破れ」。1球への執念や自身の可能性を信じろと訴えていた。「銀次は変わってくれた。リードオフもそうだし、特打が終わってもサブグラウンドで練習。危機感を持っているなと思った」と選手会長の変貌を喜んだ。その他、茂木と島内の名前を挙げ、「さらなる期待が来季にできる」と目を細めた。

 充実の日々だった。就任してから2度目の秋季キャンプ。選手との距離はグッと縮まった。声をかけ、時には練習を追加するかを決めるじゃんけんまでした。垣根を払い、個々の可能性や伸びしろを見た。全ては競争意識の強化のため。「レギュラーや打順は決まらない方が面白い。去年は決めて、失敗した。いろんなポジションを守らせたり、やっていけたら」とレギュラー白紙を強調した。

 緻密さも植え付けた。今季の盗塁数は12球団最低の56。紅白戦では重盗など、盗塁企図を多く行った。加えて犠打などの小技も重点的に練習。「全体の意識が高くなってきた。ベテランも外国人選手も同じ意識でやってほしい」と機動力の重要性も説いた。来季の盗塁数を「最低でも80。100目指してやっていきたい」と走る野球を目指す。

 減点対象は投手陣の元気のなさ。「鍛え上げながらの投球というのはあるが、目立った選手が出なかったのは寂しかった」と古川、小野、浜矢、西宮ら若手のアピールがほしかったと振り返る。キャンプ全体の採点を求められ「天気は100点だけど、80点、85点といったところ」とした。

 それでも手応えは上々。「2月1日に、しっかり体作りをして顔合わせができるように」と秋の芽吹きを冬のオフで伸ばしてほしいと願った。【島根純】