広島ドラフト1位の慶大・加藤拓也投手(21)ら新人6選手が12日、今日13日の新入団選手発表に備えて広島に入った。大学26勝の最速153キロ右腕は、肩肘故障知らずの鉄腕秘話を披露。OB会長の安仁屋宗八氏(72)らが推奨する“広島名物”の「2000球投げ込み」へ実現の可能性は十分だ。頼もしい男が、鯉のユニホームに袖を通す。

 約4時間の新幹線移動の疲れも見せず、加藤は一言一言に思いを乗せて言葉を発した。慶大では先発、中継ぎ、抑えとなげる場所を問わずに投げた。大学通算26勝。今春はノーヒットノーランも記録した。最速153キロ。鉄腕の称号が似合う男は、調整法も「結構、投げ込んでつくっていくタイプです」とうなずいた。新人では異例の“広島名物調整法”も視野に入ってくる。

 伝統の調整法は、昨春臨時コーチで指導したOB会長の安仁屋氏が推奨するなど、広島に名物として伝わる肩づくりだ。約20日間の春季キャンプで計2000球を投げ込む。近年は省エネで肩をつくる投手が多く、昨春は江草や九里など数名しかクリア出来なかった。もちろん焦りは禁物で、体との相談になる。だが秀才右腕は「アピールというより、投手として投げることが大事」と持論を展開する。

 分厚い胸板に175センチ、90キロのどっしりしたボディー。肩肘は故障知らずで、「そこは自分の売りかなと思います」とにっこり笑った。高校時代はブルペンで300球以上を投じたこともあり、2000球到達の可能性は十分ある。「周りも見ながら、自分の体の状態も見ながら。でも周りに合わせてばっかりでも仕方ない」とつなぐ言葉にも力がある。

 今日13日の新入団選手発表で、背番号13のユニホームに袖を通す。「10番台は期待されていると感じる。13番と言えば加藤、と覚えてもらえるような活躍をしたい」。先発、中継ぎは問わない。昔かたぎの即戦力。堂々とプロの第1歩を踏み出す。【池本泰尚】