昨季まで巨人でプレーした加藤健捕手(35)が、現役を引退することが4日、分かった。巨人から戦力外通告を受けた後、合同トライアウトを受けるなど現役続行への道を模索したが、オファーはなく、引退を決断した。正捕手・阿部の壁は高く、プロ18年間での出場は185試合だったが、2番手捕手として、チームに安心感を与える存在だった。今後は故郷・新潟への恩返しを軸に、第2の人生をスタートさせる。

 悩み抜いた末に加藤が、ユニホームを脱ぐ決断を下した。昨年10月、巨人から戦力外通告を受け、球団からポストも用意されたが、現役続行を選択。昨年12月中旬まで練習を継続し、オファーを待ったが、ケジメをつけた。「葛藤はずっとあったし、悔しいです。でも、いつかは来ること。切り替えて、前に進もうと決めた」と話した。

 阿部の背中を追い続けた野球人生だった。入団は加藤が2年早かったが、2歳上の阿部が不動の正捕手で君臨した。「どうすれば、チームに貢献できるかを考えた。いろんな準備もしたし、引き出しも増えた。阿部さんがいたから、18年やれた」と感謝。常に2番手捕手で「苦しかった」と苦闘しながら、チーム内では「困った時のカトケン」と頼られた。

 昨年12月末、巨人長野、山口鉄らが都内の野球場に集結し、「引退試合」が企画された。プロ最終打席では、長野から右前打をマーク。約30人の関係者の前で巨大な花束を贈られ、感極まった。昨季の2軍最終戦では、堤GMの計らいで長男・峻平君(6)が始球式を実施。捕手役で実現した「親子バッテリー」を心に焼き付けた。

 プロ18年間で出場は185試合。冗談交じりに「崖っぷちの18年」と笑ったが、周囲の支えで乗り越えられた。「1人の力じゃないです。家族、先輩、後輩、裏方さん、多くの方の支えで今がある」とかみしめた。年が明け、松井秀喜氏、巨人でバッテリーを組んだカブス上原、阿部、内海らチームメートにも感謝を込め、メールを送った。

 野球人生に別れを告げ、次なるステージに進む。「18歳でプロに入って、故郷の新潟に何も恩返しができていなくて。何か恩返しができれば、と考えています」と新たな夢を抱いた。