すべてはチームのため!! 広島丸佳浩外野手(27)が9日、マツダスタジアムの室内練習場での自主トレを公開した。すでに今月7日から広島で始動。この日はマシン打撃などで汗を流した。昨季は打線の中軸として、リーグ優勝に貢献。さらなる進化へ昨秋から打撃フォームの修正に着手。成績向上だけでなく、ベテラン新井にならい状況に応じた献身的な打撃も目指してやっていく覚悟だ。

 リップサービスはしない。丸が口にした目標は「全試合出場」のみだ。打率にも、本塁打にも、打点にも、得点圏打率にも興味を示さなかった。「僕の打点にならなくても、チームの得点になればいい」。チームのための打撃をすることが勝利への近道。個人目標は胸にしまう。昨季チームメートと味わった優勝を再び勝ち取るためなら、どんな自己犠牲もいとわない。

 昨季は全試合で3番を務め、打率2割9分1厘、20本塁打、90打点でリーグ屈指の打線をけん引した。本塁打と打点はともに自己最多。ベストナインを受賞した。それでも昨秋キャンプでは打撃の微修正に着手した。

 「うちの鈴木クンみたいに、つかんだものはない」と試行錯誤は今もなお続く。狙いは昨季107個の三振減と、打席での粘りや状況に応じた打撃への対応力向上だ。フォームの無駄を省く形を模索する。

 痛快な適時打や豪快な本塁打だけが打線を変えたわけじゃない。追い込まれても粘って、粘って、しぶとく転がしたゴロが打線を変えていった。「いかにアウトになっても1つでも走者を進められるか。小さいことの積み重ねが、あれだけの結果になった」。684得点はリーグダントツの数字だった。

 昨季打線全体で「つなぎの野球」を根気強く続けてきた。先頭に立ち、チーム打撃をしていたのはベテラン新井だ。丸はその背中を見てきた。

 「ベテランであっても、いいお手本としてやってもらった。僕らも見て感じる部分もある。そういうことはやっていきたい」

 自分のためだけでなく、チームのために戦う覚悟はできた。連覇へ、そして33年ぶりの日本一へ、多くは語らない。言葉でも数字でもなく、結果とバットで、その答えを示していく。【前原淳】