プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月12日付紙面を振り返ります。2005年の3面(東京版)は、阪神鳥谷、今年こそ頼むぞー トリ年ですからでした。

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<練習試合:阪神7-3日本ハム>◇2005年2月11日◇沖縄・宜野座

 阪神鳥谷敬内野手(23)が11日、初の練習試合となる日本ハム戦(宜野座)で1号弾を放ち、成長をアピールした。「3番遊撃」で先発。7回の第4打席、日本ハム糸井の内角直球を引っ張り、右翼席にたたき込んだ。昨秋から2年越しでフォーム改造に取り組み、新打法で結果を残した。この日は5打席で4打数2安打3打点1四球。2年目の飛躍を誓う鳥谷が、スタートダッシュに成功した。

 勝負の2年目へ最高のスタートを切った。

 1万1000人の観衆を沸かせたのは7回だ。2死二塁。カウント2-0から日本ハム糸井の内角高め直球に反応。打球は瞬く間に右翼席へ消えた。右翼手は1歩も動けない。鳥谷にとっても、チームにとってもうれしい初アーチだ。

 「まぐれですよ。追い込まれていたので、狙う場面じゃなかった。ストライクゾーンに来たら、行こうと思ってました」。控えめなコメントの中にも充実ぶりが漂う。「練習の成果? 多少はあると思いますね。強いスイングをしようと心掛けてましたから」。

 新人の昨季は内角攻めに苦しんだ。昨秋の倉敷キャンプから中西臨時コーチの指導を受け、打撃改造に着手。正田打撃コーチも「数多くバットを振ってるから、体が反応する。練習した形が結果に結び付いているね」と高く評価した。

 充実したオフを過ごしたから今がある。オフに東京都内の実家に帰省。家族を焼き肉店に招待するなど、ここまで支えてくれた家族に感謝の気持ちを伝えた。東京・東伏見の早大グラウンドでの自主トレに加え、自宅でも新打撃フォームを体に染み込ませようと、バットを振り続けた。

 文句なしの結果に、岡田監督も目じりを下げた。「初戦で結果を出したことで全然違う。昨年はいいスタートを切れなかった。本人もすごく自信がついたと思う」。昨季は開幕から波に乗れず、打率1割台に低迷した時期もあった。それだけに好スタートはチームにとっても吉兆だ。それでも鳥谷に慢心はない。「いいスタートは切れましたね。成長? まだ1試合目なので分かりませんよ」。両手には「自信」という感触が残ったはず。黄金ルーキーと騒がれたのは1年前。鳥谷が2年目で真価を発揮し始めた。

 ◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日、東京都生まれ。埼玉・聖望学園、早大を経て、03年ドラフト自由枠で阪神入団。昨季は101試合出場で打率2割5分1厘、3本塁打、17打点。179センチ、81キロ。右投げ左打ち。家族は両親と弟2人。

※記録と表記は当時のもの