打って、走って、早くも存在感を示した。楽天茂木栄五郎内野手(22)が、キャンプ初の紅白戦に「1番・遊撃」で出場。チーム唯一のマルチとなる3打数2安打と躍動した。

 持ち味の積極性に加え、読みもさえた。初回の第1打席。「立ち上がりはストライクが欲しいはず」と、先発松井裕の真ん中に甘く入った速球を強振。中越えの二塁打と、切り込み隊長の役割を果たした。「初球から甘いボールを振っていくのが長所。アピールできてよかった」。3回の第2打席でも冷静だ。1死無走者の場面で「古川は初球は変化球で、2球目に自信がある外の真っすぐを投げる」。狙い通り外角の速球を右中間へとはじき返し、迷わず三塁へ疾走。守備の中継ミスで一気に本塁へ生還した。今年のキャンプは「遠くへ飛ばす」ことを意識し、バットを振り込んだ成果をいきなり発揮した。

 打撃だけではなく、足でも成長を印象づけた。1回、2死一、二塁。二塁走者の茂木は、松井裕のチェンジアップがワンバウンドすると、すかさず三塁を奪った。「試合前から積極的に行こうと、ベンチから言われていた。走らないと分からないこともある。今はミスがまだできるので、積極的に走っていきたい」と、貪欲な姿勢を体現した。

 首脳陣をうならせるには十分すぎるパフォーマンス。梨田監督は「キャンプから安定している。打撃は積極的で、走塁でも次の塁を陥れる姿勢がある。チームも刺激を受けて、勝利に導いてくれると思う」と最大級の賛辞を贈った。1年目の昨季、最後まで新人王争いを繰り広げたこの男に「2年目のジンクス」など存在しない。【田口元義】