みちのく社会人野球は、「大谷世代」が沸かせる。高2夏(11年)の甲子園で、大谷に投げ勝った帝京の無名左腕が、JR東日本東北(宮城)内定の石倉嵩也投手(22=東洋大)だった。

 「大谷に投げ勝った男」がひと暴れする。石倉は背番号13で出場した高2夏の甲子園を思い出し、苦笑いした。「大谷に勝ったなんて思ってないし、自慢話にもならない。実績が違い過ぎる。今ではいい思い出ですね」。リリーフで5回1/3を投げ4安打6奪三振2失点と粘投。4回途中から先発小原の後を受けた大谷に競り勝った。「大谷の球は速くて全く打てる気がしなかったし、火の出るようなレフト前も浴びた。全然勝った実感が湧かなかった」と当時を振り返った。

 飛躍を期待された東洋大では左肩を痛めるなど苦しんだ。3年秋が終わった後は学生コーチを務めたが、4年春に初勝利から一気に3勝を挙げて自らの進路を切り開いた。「実績がない自分を採用していただいた。何とかチームに貢献したい。上のレベルでやる以上、都市対抗優勝を目指してやる」と息巻いた。