阪神の新戦力、糸井嘉男外野手(35)に走攻守だけじゃない、おったまげ~な秘密兵器が判明した。27日、横浜市内で行われたセ・リーグのファンミーティングに出席した金本知憲監督(48)は、糸井が試合中のベンチで「雄たけび」を上げてムードメーカーになっていることを明かした。新天地でも物おじしない超人の明るいキャラクターがもたらす効果を期待した。

 俊足に、レーザービーム、豪快なスイングだけではなかった。糸井は強力な武器を隠し持っていた。それは「雄たけび」だ。恒例のセ・リーグのイベントに参加した金本監督が、開幕を待ち切れない野球ファンに裏話を披露した。

 「明るくて、前向きな選手だ。ベンチでも雄たけびを上げるぐらいで、明るい。昨日(26日)も発していたが、ベンチのムードも明るくしてくれる。数字以上の効果を期待している」

 ラスト・オープン戦だった26日オリックス戦は、マルチ安打で初タイムリー。守備では鮮やかなスライディングキャッチも見せた。その裏で、ムードメーカー役もこなしていた。その姿勢が、2年目を迎える金本阪神の「秘密兵器」になる。

 阪神の選手はおとなしい-と評される。選手会長に就任した狩野もベンチの雰囲気を課題に挙げたほど。若手は周囲に気を使い、盛り上げ役は重荷だ。FA移籍した35歳のベテランが率先して声を出し、動いてくれたのは、指揮官にとってもありがたいことだった。「頼むぞ、と言ったら、『オッケー!』とか『分かりました!』や『がんばります!』とか。明るさを持ち込んでくれた。雄たけびだね」と再現した。

 勝負の世界は気持ちが勝敗を分けることもある。劣勢でもベンチが前向きで明るければ、逆転に持ち込むのも不可能ではない。

 「年上が明るくすると、下も明るくしやすくなるからね。中堅、上の選手が作るわけだから。(シーズンで)通してほしい。ベンチの空気感は絶対にプレーに出るから」

 オープン戦は10勝6敗2分けでリーグ最上位の成績を収めながら、終盤は若手の打撃が下降線になり、尻すぼみに終わった。そこは不安要素だが、シーズン開幕が近づき、どう変化するか。金本監督はチームにスイッチを入れる作業をベテランに期待している。

 「福留、糸井、鳥谷あたりが調子を上げてくれると思う。それにつられて、他の選手も上げてくれたら」。走攻守+雄たけび。新戦力糸井の存在感が、開幕ダッシュの推進力になる。【田口真一郎】