早大の若き主砲、加藤雅樹外野手(2年=早実)が、先制アーチ含む2安打で開幕勝利に貢献した。今季から4番に座る「清宮の先輩」と、ルーキーの早川隆久投手(1年=木更津総合)の活躍で法大を7-3で下した。

 右中間方向へ吸い込まれる打球を見て、思わず右手が上がった。3回。4番に座ったばかりの早大・加藤が放ったリーグ戦初アーチが大事な先制点となった。「ちょっと差し込まれましたが風もあったので。本当にうれしかったです」。伝統を誇る早大で、2年生の4番打者はそう多くない。プレッシャーと喜びが、一気にあふれ出た。

 早実(東京)では4番を打ち通算47本塁打を放った。当時から騒がれていた清宮幸太郎内野手(3年)とともに15年夏の甲子園で4強入りした。早大入学後はルーキーで唯一ベンチ入りを果たしたが、8月に左太ももを痛めた。捕手から外野手に転向した矢先だった。

 「同期の活躍を指をくわえて見ているしかなかった。来年、やり返す気持ちでいました」。年末に練習を再開。自信のある打撃以上に、高校1年以来となる外野の守備練習を人一倍こなした。高校の時より体はひと回り大きくなった。高橋広監督(62)が「飛ばす力はチームで1番」というパワーがまさにさく裂した。

 加藤は、今春センバツに出場した後輩の活躍をテレビで見ていた。「応援していました。すごく刺激になりました」。早実は今日9日、神宮球場隣の神宮第2球場で春季高校野球東京大会8強入りをかけて戦う。今度は自分が後輩を勇気づける番。4番としての「幕開け弾」は、今、調子を崩している清宮に届けと言わんばかりの1発だった。【和田美保】