みちのく大学野球が今、満開です。フレッシュな戦力が、リーグを席巻しています。東北3リーグ全18大学(1部)の新入生を今週、来週の2回に分けて特集します。前編は181人の新入生が加わった仙台6大学。出色の存在が東北福祉大の149キロ左腕・山野太一投手(高川学園)。既に東北大戦で先発登板し5回1安打9奪三振無失点の圧巻デビューを飾っている。野手陣の元山飛優(ひゆう)内野手(佐久長聖)と、小林亮太捕手(倉敷商)も既に先発を経験。「新鮮力」で2季ぶりの覇権奪還を狙う。【取材・構成=高橋洋平】

 まるで異次元だ。山野の左腕がうなりをあげると、相手のバットはかすりもしない。最速149キロの直球に切れ味抜群のスライダーを織り交ぜられると、もうお手上げだ。2度目の先発でカード初戦を任された22日の宮城教育大戦では、毎回となる7回15奪三振。先発2試合で計12回3安打無失点に抑え、奪三振数は投球回数の倍の24個と驚異的な数字を誇る。「狙えるところは狙った。今までで一番よかった」と余裕の表情を浮かべた。

 爆発的に成長した。高校入学当初は最速120キロだったが、高2の冬にトラックのタイヤ引きで下半身を強化してから、世界が変わった。171センチ、73キロの体は全身バネ仕掛けになり、ひと冬を越えた高3春には最速145キロを計測するまでに成長。昨夏の山口大会では5回、8回の参考記録ながら2度の無安打無得点試合を達成し、チームを夏の聖地に導いた。