ふるさとへ、希望の1発を届ける。岩手出身の楽天銀次内野手(29)が15日、秋田・こまちスタジアムで行われた全体練習を終え、明日17日の日本ハム戦(岩手・盛岡)への思いを口にした。当日の試合には、昨年8月に起きた台風10号の被災地である岩手・岩泉の児童約100人が球団から招待される。「その子どもたちを笑顔にすることが、僕らの仕事。僕はホームランバッターではないけど、1本打てたら」と、いつも以上に力が入った。

 昨年12月にキャプテン嶋と岩泉を慰問した。その時の光景が今でも忘れられない。「楽天イーグルス・岩泉球場」のグラウンドは荒れ果て、フェンスは傾き、球場を囲む木々は倒れていた。「復興って言葉にすることは簡単。僕らがそういう場所に行くことに意味があるし。今回は球場に来てもらえる。銀次のプレーを見て、少しでも元気を感じてくれたら」と、忘れられない1日にすると約束した。

 盛岡の球場は、自身にとっても思い出深い場所だ。8歳の時に日本ハム-オリックス(96年6月25日)を観戦した。試合はオリックスが3-1で勝利。銀次は「イチローさん(マーリンズ)がまだオリックスで出場していて、ニールっていう外国人が9回に逆転サヨナラ3ランを打った。プロ野球ってすごいと思った」と興奮気味に振り返った。

 今度は、自分が夢を与える番。オリックスはその年、日本一を達成した。楽天に再び歓喜を-。「13年の日本一から、みんな待っている」。楽天の選手会長、そして東北人として、自らのバットで笑顔をもたらす。【栗田尚樹】