ぶれずにまい進した。外国人の補強はパワーを最優先。監督を務めた大久保博元氏を12年の打撃コーチに招聘(しょうへい)し、2年前には梨田監督の就任に合わせ、フルスイングが代名詞だった池山コーチを呼んだ。ドラフト戦略にも攻めの姿勢を前面に出し、コツコツと土壌を整備した。

 この日のスタメン野手は、外国人の大砲3枚と守備の名手藤田を除いて生え抜き。体とスイングの強さにこだわって指名したドラフト3位以下の面々だ。打者の左右やタイプがかぶっても目をつぶり、競争をあおる材料にした。茂木は3位指名を受けた15年は、育成を含めた9選手のうち投手が1人だけ。他球団から「偏ったドラフト」と言われようが信念を貫いた。

 教えにも芯が入っている。直球を強振する好球必打。空振り三振を恐れない。“いてまえ”近鉄をルーツに持つ梨田監督が指針を掲げ、浸透させている。2軍戦の前、フリー打撃のラスト2球に「1死三塁」「1死満塁」の状況を設定。転がすのではなく、思い切りかち上げる飛球を打たせてゲームに入る。20日ロッテ戦で、ファームから昇格して初スタメンで決勝本塁打を放ったドラフト3位の田中が好例。迷いなく振れる集団に変貌を遂げた。

 梨田監督は言った。「開幕から先発に不安があったが打線の援護でかみ合ってきた。交流戦は優勝するつもりで」。打てる根拠がある。まず本拠地で巨人。力を披露する。【宮下敬至】