東北福祉大が仙台大に3-2のサヨナラ勝ちで2勝1敗とし、勝ち点5(10勝2敗)の完全優勝を飾った。9回裏1死二塁、代打の切り札古川澄也外野手(3年=花咲徳栄)が右前適時打を放ち、2季ぶり68度目の優勝に導いた。2年連続32度目の出場となる全日本大学野球選手権(6月5日開幕、神宮ほか)の1回戦は四国学院大(四国地区大学)と対戦する。

 最後は意地が勝った。2-2の9回裏1死二塁、代打古川が内角低め直球を右前にはじき返した瞬間、福祉大ナインは一目散にベンチからかけ出し、歓喜を爆発させた。3年生の古川は「ここで絶対に決めてやろうと思っていた。気持ちしかなかった」。整列が終わり、高校の先輩・楠本泰史外野手(4年=花咲徳栄)から抱き締められると、たまらず号泣した。

 4年生が泣いて喜ぶチームの結束力が、今季の強さの象徴だ。主将に就任した菊名裕貴内野手(4年)は昨秋に仙台大に敗れ優勝を逃した敗因を突き詰めた。「(去年の)4年生がすごくて、意見ができなかった。自分たちの力だけでは勝てない」。菊名は同じ目線で意思疎通を図れるように、下級生にも率先して話しかけてチームを統率した。

 そんな主将の姿を見て、燃えない理由がなかった。5回2死三塁、菊名が正面の二ゴロをお手玉し、適時失策で勝ち越しを許した。ベンチに帰ると副主将の笠井駿外野手(4年)が「このままキャプテンのエラーで負けさせるのかよ」と一喝。最上級生が必死に鼓舞する姿に触発された古川は「学年関係なく話せて、風通しがよくなっていた。こんなによくしてもらっているのに、何とかして4年生を勝たせたいと心から思っていた」と振り返った。

 試合後、胴上げで祝福された大塚光二監督(49)は「菊名は主将としてやることも多かったけど、成長した。立派な仕事をしてくれた」と評価した。監督に続き、泣きながら胴上げされた菊名も「去年までは後輩たちがやりにくかったと思う。(チームの中からも)応援してもらえるチームじゃないと勝てない」。全国27代表中、最後に神宮出場を決め「チーム全員で1つずつ勝っていきたい」と意気込んだ。全部員121人の力を結束させて、神宮でも大暴れする。【高橋洋平】