これぞ、プロの放物線だ。ヤクルト山田哲人内野手(25)が、日本ハム戦(浦添)の3回1死、鍵谷のスライダーをバックスクリーン左に運んだ。日本ハムのドラフト1位、清宮幸太郎内野手(18=早実)の前で、トリプルスリー2度の打力を見せつけた。この日のオープン戦1号で、紅白戦を含め実戦6試合で3発と絶好調。3度目の偉業達成に向けて視界良好だ。

 山田哲が理想のスイングを体現した。3回1死、鍵谷が外角スライダーで体勢を崩しにきた。だが、上体は泳がない。「右足に体重を乗せて軸回転で振り抜く」というテーマ通りにボールを呼び込んだ。打球は加速度を付け、バックスクリーン左の芝生席へ。感嘆まじりの大歓声の中「いいスイングができたので入ったと思った」と感触をかみしめながらベースを1周した。

 三塁側ベンチにいる“ゴールデンルーキー”の視線も一身に受けていた。清宮とは、15年夏にホテルで遭遇。自分が憧れの選手の1人だと知り、笑顔で記念撮影に応じたことがあった。

 その時以来の再会となったこの日、清宮の姿を目で追った。試合前のフリー打撃はアップをしつつ観察。試合では5回に代走を送られ交代したが、6回に代打で登場した場面を見てからロッカー室に引き揚げた。「力強いスイングをしている。体も大きいしすごく期待されているんだと思います」。かつての高校生がプロでも着実に成長していることを実感し、喜んだ。

 そのうえで、プロの先輩の貫禄を示した。打ったのは初球に見逃しストライクを喫したのと同じ球種。「頭の中にスライダーはあった」と配球を読みきり、ひと振りで仕留めた。清宮も目指す「本塁打王」を15年に獲得した打撃技術を披露してみせた。

 今日26日で浦添キャンプは終了する。これまでの山田哲の春季キャンプは、4月に絶好調に仕上げるのが流儀だった。だが今年はレベルアップを追求し、足がふらつくほどバットを振った。「練習が増えて初心にかえれた。いいスイングができている。うまくいってるので忘れず続けたい」。まだまだ大きな成長曲線を描いていく。【浜本卓也】