阪神が6年ぶりにオープン戦最下位に沈んだ。最終戦のオリックス戦も散発2安打1得点のドローで、通算16試合で2勝12敗2分けの“借金10”。金本知憲監督(49)も「スカッと打って勝ちたかった」と渋い表情だ。鳥谷敬内野手(36)が打率6分7厘と低調で、新外国人ウィリン・ロサリオ内野手(29=韓国・ハンファ)も2三振、打率1割4分3厘と状態が上がらず。頼みの主力が不振を抜け出せず、不安を抱えたまま3月30日の開幕巨人戦(東京ドーム)に臨む。

 モヤモヤしたままオープン戦が終わってしまった。最後も小気味よいオリックス山岡に歯が立たない。150キロ近い剛速球とスライダーやチェンジアップを駆使する2年目右腕に沈黙。8回に追いつくのが精いっぱいだった。金本監督も苦笑いを浮かべて言った。

 「最後だからスカッと打って勝って終わりたかったけれど、相手投手が良かった。2ストライクに追い込まれてからカーンと打とうとしすぎている。余計やられるパターンになるわね」

 好投手を前に打席での鉄則を貫けなかった。追い込まれたあとの対処法だ。<1>打つことよりも三振しない<2>とりあえずバットに当てる<3>1球でも多く投げさせる。この3カ条も好投手を前に空回りした。オープン戦は2勝12敗2分けで終わり借金10で勝率はわずか1割4分3厘。12年以来、6年ぶりの最下位に沈んだ。

 4日後に開幕巨人戦が控えるが、不安が消えない。命綱の主力が最後まで本調子にならないのだ。1回無死一塁。2番に入った鳥谷は山岡の外角速球を打ち損じて投ゴロ併殺に倒れた。この日は4打数無安打で、オープン戦通算30打数2安打の打率6分7厘だ。上位打線のリードオフマンとして期待する金本監督も「多少、トリが振れていないのが心配ですけどね」と不安が口を突いた。鳥谷も「全然、打てていないので打てるように頑張ります」と本番に向けて、状態を上げていく覚悟を明かした。

 新助っ人ロサリオはこの日も日本流の攻めに四苦八苦した。4回は山岡の外角に逃げるスライダーにハーフスイングで空を切る。7回も外角スライダーに腰が引けた見逃し三振だった。ロサリオは言う。「出てくる投手がスピード、キレもあって制球も良かった。そういう投手と対戦できてよかった。そこは収穫」。2月のキャンプ実戦で3本塁打したが、オープン戦は1本止まり。打率も1割4分3厘にとどまり、本番での爆発に期待するしかない。

 片岡ヘッド兼打撃コーチは「(練習の)残り3日間で各自が状態、集中力を高めて開幕に臨んでほしい」と話した。金本監督も「いま(打線の状態は)一番下やからな」と言う。上げ潮ムードに転じて、30日の打倒菅野に向かいたい。【酒井俊作】