大炎上もポジティブ思考で乗り切る。広島薮田和樹投手(25)が27日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦(由宇)に先発。開幕前最後の登板は6回8安打7失点。5回に先頭の安打から連続四球を与え、一気に崩れた。それでも「感覚は良かった」と前を向き、有力視される4月3日ヤクルト戦(神宮)でのシーズン初先発へ修正を図る。

 薮田は亜大の2学年先輩である東浜とプロで初めて投げ合い、ともに大量失点を喫した。締まらない試合を演出。前回、前々回のオープン戦でも6、5失点を喫していた。開幕前3度の登板すべてに炎上で大丈夫か…と思いきや、本人の思いは違った。今回は確かな手ごたえを得て、前向きな発言が並んだ。

 「クイック(モーションからの投球)だけが課題。感覚も良かった。だいぶ修正できてきた。やらないといけないことが明確になってきた」

 5回は先頭の谷川原に右前打を許して急にリズムが悪化。塚田、釜元に連続四球を与え、3本の適時打と犠飛で失点が重なった。6回も無死一塁で、塚田にカウント3-1としてから左翼席に運ばれた。

 それでもポジティブになれたのは、4回まで1失点の投球内容だった。明石にソロ本塁打を許したが、これも内角に直球を投げ込み、打球が強い風に乗って左翼席に届いたもの。全体的にストライク先行が目立ち、ここまでわずか40球のいいペースで進めていた。

 「クイック以外は良かったんで。今まではランナーがいてもいなくても感覚が悪かった。(収穫が)ゼロではなくなった」と大きな前進と受け止めた。水本2軍監督もまだ迷いが見えるとしながらも「今日がいい機会になれば。去年の最高勝率投手なんだから、自信を持っていけと伝えた」と激励したことを明かした。

 スッキリとはいかなかったが、4月3日のヤクルト戦先発を託される方針は変わりない。マツダスタジアムでのナイター練習中に報告を受けた畝投手コーチも「信頼は変わらないか」との問いに深くうなずいた。そして薮田は誓った。

 「やるしかない。この1週間にクイックを修正して自信を持って入りたい」。先発の柱と期待がかかる。大事な6連戦初戦を任される「火曜日の先発」として、本番では同じ過ちは繰り返さない。【大池和幸】