虎党が恐れる「首位陥落」は実際に起きていたのである。午後5時11分、巨人が逆転でヤクルトを下す。前日までゲーム差はなし。この時点で首位は巨人となり、阪神は0・5ゲーム差の2位に陥落した。阪神がナイターに挑む49分前だ。
9月下旬のこの時期になっても巨人とのマッチレースは続く。数字的には試合数を多く残す阪神有利という。しかし独断と偏見で言わせてもらって、一度、抜かれてしまうとジ・エンドでは…と考えている。
阪神が今季最後に2位だったのは7月25日。甲子園で巨人との直接対決で連敗したときだ。このナイターで負けると1ゲーム差となり、それ以来の2位転落となってしまう。負けられない戦いだった。
終わってみれば楽勝だが序盤はしびれる展開だったかもしれない。いわゆる決勝打点はなかった。0-0の3回、2死満塁相手先発・竹田祐が記録した暴投がそれだ。それでも試合内容はよかったと思う。
今季の課題の1つとされる下位打線の働きで得点できたからだ。3回に2点適時打を放ったのは「7番・遊撃」の元山飛優だ。さらに5回の中押し点は「6番・左翼」の前川右京の犠飛。7回は代打・木浪聖也の適時打から1番・近本光司のそれと続いた。久々に見た「キナチカ」の連打。下位から上位に打線がつながる、強かったときの光景だ。森下翔太にダメ押し弾も出た。
その展開を導いたのは才木浩人の力投だ。最大の危機は3回無死一、二塁で牧秀悟からの打線を迎えた場面。ここで才木は牧を右飛、佐野を二ゴロ、そして筒香嘉智を遊ゴロとすべてストレートで抑え込む。野球は流れのスポーツ。「これはいける」と思ったその裏の3得点だった。
「いろいろとね、頭を巡ることがあると思いますけど。いかにシンプルに野球に取り組めるか。その日の勝負を丁寧に送れるか。その日の勝負に丁寧に入っていけるか」。巨人の勝利を受けた試合だったことを聞かれると、指揮官・藤川球児は冷静に話した。
絶対に負けられない、そんなゲームで阪神は勝ったのである。少し長かった甲子園のゲーム、試合終了は午後9時46分。4時間35分の“首位陥落”だったことになる。もちろん、まだ楽観はしていないがこの勝利は大きいと思う。残り12試合。「2位」はこの時間を最後にしたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




