巨人がレアで消化不良な結末で交流戦前最後の戦いを終えた。9点を追う9回。ようやく打線が息を吹き返して1点を返し、1死満塁。長野の左翼への飛球に三塁走者岡本がタッチアップを準備する。阪神中谷はグラブに収めた後、送球動作に入る流れで落球。完全に捕球したかのように見えたが、塁審の判断はノーキャッチだった。一塁走者亀井、二塁走者マギーは捕球したと思って帰塁していたため、「左-三-二」と“世にも奇妙な”左ゴロ併殺で、あっけなく試合は終わった。

 審判団の場内放送での説明後に高橋監督も抗議に出たが、受け入れられなかった。「結果がそうだから。言いたいことはあるけど、ここで言っても行き違いがあると嫌なので」。公の場で持論は示さなかったが、明らかに納得しておらず顔つきは怒気を帯びていた。

 試合自体は一方的だった。リーグNO・1の打率を誇った打線が3連戦では計5得点と停滞した。プロ未勝利の才木に150キロ前後の直球で6回2安打無得点とねじふせられる。特に2番吉川尚、7番ゲレーロで打線が分断された。吉川尚は3三振を喫するなど今カードで無安打に終わり、ゲレーロは18打席連続無安打で16戦連続打点なし。不振にあえぐ昨季の本塁打王は「才木はいい投手だった。交流戦に新しいイメージで入る」と一新を強調するしかなかった。指揮官は「なかなかヒットが出ないので、本人も何とかしようというのはあるのだろうけど」と、もがきを感じ取っていた。

 結果だけを見れば昨季が重なる。ともに交流戦前に4連敗。昨年は借金1で交流戦に突入し、今年も4月24日以来の借金1と酷似している。正捕手小林がコンディション不良でベンチから外れ、不安要素も出てきた。球団ワースト13連敗の悪夢を連想させないためにも、あしき流れを断ち切りたい。【広重竜太郎】

 ◆本田球審「ノーキャッチの判断です。高橋監督から完全捕球ではないかという抗議? そうです。リクエストの対象ではありません」