広島の若き4番鈴木誠也外野手(24)が、特大アーチをかけた。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦で1点リードの4回、巨人メルセデスから左翼席上段に2ランを放った。CSでは最年少4番弾で、勝利をたぐり寄せた。リーグ優勝による1勝アドバンテージと合わせ、広島は2勝。今日18日の2戦目に勝てば、早くも日本シリーズへ王手となる。
鈴木は打球の行方を見届けると、両手をパチンとたたいてほえた。1点リードの4回無死一塁。「頭になかった」というメルセデスの初球カーブを、反応で左翼席に放り込んだ。CS、日本シリーズも含めたポストシーズン自身初アーチ。4番が貴重な2ランでチームに活力を与えた。
「去年悔しい思いをしていたので、大事なところで打ちたいと思っていた。本当にうれしい」
昨年は右足首骨折の影響で出られなかったCSファイナル。2年ぶりの出場に胸を躍らせていた。「一昨年と比べて、楽しみがすごく大きかった。とにかく楽しもうと」。そして、強く決めた。「とにかく攻める気持ちを持ってやる」と。そんな攻撃的な姿勢が、初球アーチという最高の結果につながった。
大事な短期決戦を前に、フォーム改造という大胆な策に出た。構えで小刻みに体を動かしながら、タイミングを取るよう変更。リスクは大きい。シリーズ前のシート打撃でも結果が出なかった。そんな心配を笑い飛ばす。「記者さんは書きやすいペンがあれば変えるでしょ。僕にとって、それと同じようなことですよ」。シーズン中からよりよいものを求めて修正を繰り返す若き主砲。そのタイミングが今シリーズ前だったというだけだ。そして、本塁打が出た。「今、一番結果が出やすいのがこの形なのかなと思う」と、今後のポストシーズンへ自分自身にも期待した。
「久しぶりの試合だったので、どうなるんだろうと思った。早い段階で1本出たので楽になる。みんな新井さんと最後までやりたい気持ちが強いと思う。とにかく勝てればいい」。今季限りで引退する新井への思いをあらためて口にした鈴木。ラミレスDeNAに敗退した1年前のCSファイナルとは違う。4番がチームの中心に、どっしりと構えている。【大池和幸】
▼24歳1カ月の広島鈴木が本塁打。プレーオフ、CSでは16年1Sの巨人戦で打った筒香(DeNA)の24歳10カ月を上回る最年少の4番アーチとなった。
▼広島が勝ち、アドバンテージの1勝を含め2勝。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗は過去21度あり、20度が日本シリーズに進出している(突破率95%)。唯一の敗退は昨年の広島がDeNAに2連勝から4連敗。今年は屈辱を晴らせるか。