今季限りで現役を引退した巨人杉内俊哉ファーム投手コーチが22日、「引退登板」を行った。

熊本市内で、同学年で元ダイエー・チームメートのソフトバンク和田とともに「Fight! KUMAMOTO! 熊本地震復興野球教室」に参加。県内の小学生らにノックを打ったり、ストラックアウト対決などで盛り上がったあとにサプライズが待っていた。

子どもたちからの質問などを受けるトークセッションの途中だった。杉内コーチの引退の話題になると、ダイエーのユニホームを着た元チームメート松中信彦氏、城島健司氏が現れた。杉内コーチ、和田もダイエー時代のユニホームに着替えて「引退式」が始まった。

キャッチャーに城島氏、打席には松中氏が立ち、和田が審判の位置へ。杉内コーチがマウンドに向かった。杉内コーチは軟式ボールを握ると、現役さながらのゆったりとした独特のフォームから鋭いボールを投げ込み、松中氏が豪快な空振りで応えた。その後は城島氏と松中氏が入れ替わり、もう1球を投げて「引退登板」が終わった。

2人の登場を知らなかった杉内コーチは興奮冷めやらぬ様子で「びっくりです。泣きそうになりました」と感激。城島氏は「魚釣り日和だったけど仕方ない。思い出深いピッチャーがやめていくのは自分がやめる以上にさみしい。最後の球を受けられて良かった。やめてもやっぱりいい球を投げますね」。松中氏は「ダイエーが強くなるために、ピッチャーを引っ張ってくれた。同じチームで良かった。(コーチとして)第2の杉内をしっかり指導してほしい」とねぎらった。

実はサプライズは和田の企画で、杉内コーチの引退試合がないことを知り、すでに決まっていたこの日の野球教室に合わせて松中氏、城島氏を招いての「引退登板」を用意した。杉内コーチより先に、目を潤ませていた和田は「最後までスギにばれなくて、びっくりした顔が見られて良かった。松中さん、城島さんも来てくださって感謝です」と喜んだ。