<オープン戦:中日3―4日本ハム>◇2日◇北谷

 中日の絶好調男・平田良介外野手(19)が日本ハムの怪物ルーキー・中田翔内野手(18=大阪桐蔭)に先輩の意地を見せた。2日、日本ハムとのオープン戦で高校の2年後輩と直接対決。3番中堅でスタメン出場し、第3打席に右翼越えのタイムリー三塁打を放った。これで実戦8試合連続安打とし、トータル21打数11安打で打率は驚異の5割2分4厘。シングル1本の中田に貫禄を見せつけるとともに、開幕スタメンをアピールした。

 先輩の意地だった。0-3とリードされた6回、日本ハム2番手スウィーニーの外角高めの直球をたたいた。打球は弾丸ライナーで右翼を襲い、フェンス手前でワンバウンド。二塁を蹴った平田は三塁へ猛烈な勢いでスライディング。視線を上げるとその先には三塁ベンチに腰を下ろす中田がいた。

 「外の高めをうまく打てました。久しぶりに三塁まで走りましたね。前の打席まで三振、三振だったので(連続試合安打が)止まるかと思いましたけど、打ててよかったです」。

 後輩との直接対決で打ったことに意味があった。第1、第2打席は先発武田勝の変化球に翻ろうされて2打席連続三振。中田は4回の第2打席で中前打を放っていた。先輩としてこのまま終われない。重圧のかかる第3打席できっちり結果を出した。

 人気と実力を兼ね備えた後輩の存在を発奮材料にしてきた。これまでは「中田の先輩」と表現されることが多かった。大阪桐蔭時代は、2学年下の中田からあこがれられる存在だった。夏の甲子園で1試合3本塁打を放ち、圧倒的な存在感を見せつけたこともある。互いにプロとなって顔を合わせた後輩に、負けるわけにはいかなかった。

 「僕はプロ3年目です。僕が中田と同じ立場だったらだめでしょう」

 この日の試合前、中田とは三塁ベース付近で、約1分間会話した。中田から「右方向にあれだけ強い打球を打てるっていうのはすごいです」と脱帽されたが、平田は「きょうはあいさつだけです」とあくまでも無関心を装った。

 3打数1安打で、紅白戦、練習試合を含む実戦で8試合連続安打となった。トータル打率は5割2分4厘。すでに開幕1軍は内定しているが、スタメン出場に向けさらなるアピールを続けるつもり。翔くんフィーバーならぬ良くんフィーバーを巻き起こす。【鈴木忠平】