巨人渡辺恒雄会長(81)が8日、開幕して10試合を経過したばかりのチーム状況について「2位か3位でいい」などと失言をした。都内ホテルで会食後報道陣に対応。「ペナントで優勝する必要は、全くない。こんなこと言ったら原君は怒るだろうが、去年と逆でいいんだ。こんな調子で、巨人が優勝できると思うか」と話した。

 北京五輪本戦でチームから選手を輩出する件についても憂慮。「また五輪でも、人を出すんだから。勝てるわけないだろう。(レギュラーシーズンは)3位でいい。しかし日本一は取る。ハッハッハ」と、最後は高笑いで締めくくった。

 一丸となって巻き返しを図ろうとしている現場に水を差す、球団トップの放言。毎度のことだが朝令暮改のコメントに振り回され、士気が著しく下がってしまう。加えて巨人は、星野ジャパン金メダル獲得のため、チームを挙げ全面協力する姿勢を真っ先に示している。チームの成績と五輪を関連づけて話すことは、球団の意向に反している。

 球団トップと現場の、著しい意識の乖離(かいり)。“あしき伝統”に終止符を打たない限り、真の意味での強いチームづくりもままならない。【宮下敬至】