<オリックス5-1日本ハム>◇28日◇京セラドーム大阪
逆輸入ルーキーが、また「日本の壁」に屈した。日本ハム多田野数人投手(28)がオリックス戦で5回1/3、プロワーストの7安打、4失点で2敗目を喫した。1失点と好投していた6回にボークを犯しリズムを乱し、3連打を浴びるなどしてKOされた。米時代はクリアしていたセットポジションに課題を残し、3試合連続で両リーグ単独トップの6ボーク目。日本デビューから3連勝と破竹の勢いだったが痛恨のミスで連敗した。
多田野が、明らかに憤った表情を見せた。三塁側ベンチにいた吉井投手コーチは、血相を変えて、なにやら審判団へ向かって叫び声を上げる。6回無死一塁で、打者カブレラ。その初球を投じると同時に、白井三塁塁審からボークを宣告された時だった。内野ゴロなら併殺もあった場面が一変した。カブレラ、ローズに連続単打。オリックスが描いた理想の展開で2点目を失い、なお犠打で1死二、三塁となったところでマウンドを降りた。
2番手の同期新人左腕・宮西もこらえ切れずに2点を献上。打たれたわけではない痛恨のミスを、多田野は怒りを押し殺すように、大人の対応で振り返った。「ほかの人が判断すること。判断がすべて。ボークと言われればボークですから」。明らかに不服そうだったが、下されたジャッジを一応は受け入れた。初回に1点は失ったが、2回以降は無失点と粘投しただけに、大きな分岐点だった。
前回登板の18日広島戦。初回に無死一、三塁から先制点をボークで献上した。終わってみれば、それが決勝点。7回2失点と好投したが、プロ初黒星を喫した。プロ8戦で防御率は2・38と抜群だが、ボーク数は両リーグトップの6。すべて、セットポジションが完全に静止していないと判断された。7回1失点だった12日巨人戦でも、その唯一の失点がボークが絡み。交流戦後の25日、吉井投手コーチとブルペン投球中に修正を図ったが、この日も対応しきれなかった。
日本デビューから6戦無敗、3連勝を記録したが、ボークが引き金で連敗。同じ米球界を知る吉井投手コーチは「(審判の)ブラックリストに載っている。あれがとられるのは、世界のリーグでここ(日本)だけ」と怒りの矛先をルールに向けた。梨田監督も「マークされてるみたいなところはある」と同情したが、ルールはルールだ。攻略はされないが、想定外の自滅で沈んだ多田野。もしも審判の先入観があるなら、それを一掃するのもプロの仕事。日本を新天地に選んだ元メジャーリーガーに「宿題」が、また残された。【高山通史】



