<日本ハム6-4西武>◇3日◇札幌ドーム

 エースは崩れない。日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)が2試合連続の2ケタ三振を奪ってプロ4年目で通算500奪三振とし、連敗していた西武との首位攻防戦に一矢を報いた。小刻みに3点を奪われながらも踏ん張り、6回の一挙5点の逆転劇を呼び込んで9勝目を挙げた。西武戦のチームの連敗を6で止め、ゲーム差を再び2とした。7、8月を得意にする夏男が今年も熱い。

 最後はビシッと決めた。こん身の150キロを外角いっぱいに投げ込んだ。鶴岡のミットに乾いた音を響かせ、中島を見逃し三振に仕留めた。「最後は真っすぐで、力で勝って打ち取りたいと思っていた」。それまで2安打を許していた打者への意地だった。8回2死からこの日10個目、通算500個目の三振を奪ったダルビッシュが右拳を力強く握った。

 「500奪三振は500人以上の打者と対戦できているので、相手の打者にも感謝したい。自分でもよくやったと思うし、同じ数を重ねていけるようにこれからも頑張りたい」と節目を振り返った。昨季奪三振王の4年目の通過点だった。

 最後は締めたが、中盤まで思い通りにはいかなかった。「ホンマに最悪だった」。3回には自らが片岡の投ゴロ(記録は内野安打)を後逸し、先取点を奪われた。4、6回には適時打を浴び、リードを奪われたが、打線の奮起に助けられた。本拠地通算20勝目。「野手の人のおかげ」と感謝を惜しまなかった。

 苦しみながら、フォークなどの変化球を駆使し、8回5安打3失点なら合格点。梨田監督は「点を取ってもらった後に抑えるのはさすがだね。(6回無死二塁で)4点目をやらなかったのもさすが」と、今季9勝目の右腕を称賛した。

 7月初戦を白星で飾り、夏男の本領も発揮した。06、07年の7、8月は合計15戦12勝で負けなし。「来たって感じがする。暑い方が体が動くし、運も良くなる」。この日から、登場曲も90年代を代表するミュージシャン・エミネムの洋楽に変更し心機一転。「選ばれたら北京(五輪)までに力尽きるくらいチームに貢献したい」と言い切った。

 夫人が東京から1泊2日で駆けつけた試合で3連勝、チームは今季木曜日は無傷の10連勝。前回の西武戦では初のサヨナラ負けを喫しており「今日は絶対勝ちたかった。これで乗っていければ」。ダルビッシュの夏が来た。【村上秀明】