<ヤクルト4-3阪神>◇28日◇神宮

 不思議だ…。首位独走の阪神が、ヤクルト相手には大苦戦する。この日も初回に2点を先制しながら、先発の上園啓史投手(24)があっさり逆転される。その後も同点に追いつくが、ミスから決勝点を奪われた。2位巨人が敗れ、優勝マジックは「42」と減ったが、岡田彰布監督(50)はここが引き締めどころと判断。上園の「降格」を決めた。快進撃の前半戦も29日の同カードでラスト。ビシッと60勝目で締めくくるで!

 マウンドに上がるため、三塁側ファウルゾーンでキャッチボールを始めた上園は、すぐにベンチへと姿を消した。3回裏、岡田監督がピリッとしない先発に見切りをつけ、継投を決断する。厳しい采配は、勝負への執着心そのものだ。語気を強めて、言い切った。

 「前回と一緒や。四球もいきなりだし。四球だけはどうしようもできない。悪いなりに何とかするレベルじゃない。(8月は)そんなに先発投手も、いらんわけやから。ローテに入っている投手はみんな(置かれた立場を)知ってるやろ」

 あまりにも不用意な四球だった。2点リードした2回裏。上園は先頭畠山を歩かせてしまう。高めに浮く球の軌道を修正できない。飯原に適時三塁打を浴び、福川にもタイムリーを許す。この回3点を奪われ、前回の22日巨人戦(甲子園)から、2試合連続で2イニングで降板。険しい表情を浮かべながら「完全に自分の責任です…」と振り返った。

 この日、巨人が敗れ、マジックは「42」に減った。それでも、勝負の8月を見据えて、死角は作らない。北京五輪終了までは最大で5連戦。その後は安定した4投手で先発をまかなう方針だ。神宮のマウンドは、いわば生き残りを賭けた戦いだった。大切な1戦で結果を残せず、上園の先発ローテ脱落が濃厚になった。

 12球団最少の失策数を誇る「鉄壁の守備」にも、ほころびが出た。同点で迎えた6回裏。宮本のゴロを三塁バルディリスがファンブル。痛恨の失策から、決勝点を失ってしまった。前日27日の中日戦でも、失策に端を発して逆転負け。クライマックスシリーズ、日本シリーズではさらに緊迫した展開が予想され、1つのミスが致命傷になる。指揮官も引き締めを図った。

 「不運と言っても、あのゲーム展開やから。昨日も今日も競っていた展開でのエラーだったからな。もう1歩前に出ていればな」

 これでヤクルト戦は、リーグ唯一の対戦カード負け越しとなる7勝8敗。わずかなミスすら許さない雰囲気こそ、独走優勝するための条件だ。前半戦も残り1試合。緩みなく、ターンを迎えたい。【酒井俊作】