<横浜2-19阪神>◇3日◇横浜

 反省尽くしの10勝目だった。大勝しても、阪神先発安藤優也投手(30)は浮かれていられない。先発陣の大黒柱としての自覚がある。歴史的大勝に沸くナインをよそに、6回で降板した事実を重く受け止めていた。

 「点差があったので、もっと長いイニングを投げないといけなかった。もう少し締めなアカンかった。楽しすぎた部分があります」

 優勝を目指す上で重要な後半戦初戦。勝利を義務づけられる1戦で、粘りの投球を見せた。3点の援護を受けた直後の1回裏。2死後、内川の一ゴロでベースカバーに入った際に一塁葛城のトスをポロリ…。不用意な失策を犯すと、吉村に右中間二塁打を浴びて、あっけなく1点を失った。さらにビグビーに四球を与えて一、二塁。不穏な空気が漂ったが、耐えた。外角シュートで石井琢のバットの芯を外して遊ゴロに封じ、最小限の傷にとどめた。

 2回以降は、走者を置いても丁寧な投球を見せたが、6回2失点で降板。それでも、大量援護を受けて、08年の開幕投手が、2年ぶりの2ケタ勝利をマークした。

 「最低ラインではありますね。それに到達して、そこから何勝積めるか。まだ8月だし、先は長い。去年悔しい思い(2勝止まり)をしているし、倍返ししないといけないですから」

 次の目標は、シーズン自己最多の11勝(05年)だ。妥協なき安藤が、確実にエースへの階段を駆け上がる。【酒井俊作】