星野ジャパンのエース、ダルビッシュ有投手(21)が周囲をヒヤリとさせた。先発した8日のパ・リーグ選抜との強化試合での投球中に、右親指に裂傷を負っていたことが一夜明けた9日、判明した。

 大野投手コーチによれば「(右手)人さし指で、親指のサイドをひっかいた」形になったという。昨年12月のアジア最終予選、その直前の同11月のオーストラリア代表との壮行試合でも同様の負傷をした。いずれも滑るなどとされる慣れない国際試合使用球での投球だった。今回は3回2失点と不完全燃焼だった調整マウンドで、軽い腰の張りも出たという。だがダルビッシュは力強い言葉で「全然、大丈夫」と不安を一掃した。

 それを裏付けるように、この日は通常メニューを消化し、登板翌日では異例の強度のキャッチボールを行った。フォームチェックのためにカーブを交え、体のバランス、使い方を矯正。理想とする体の動きが崩れると、体の各個所に“異常信号”の張りが出ることがある。そのシグナルを即座に感じ取り、国内での強化合宿を打ち上げた。「昨日は良くなかったけれど、今日は良かった」と手応え十分。ダルビッシュは10日、日の丸の背番号「18」を背負って北京へ入る。金メダルを宿命づけられた、壮大な旅に出る。【高山通史】