<阪神3-2ヤクルト>◇9日◇甲子園
阪神がベテラン矢野輝弘捕手(39)の劇弾で、マジック20を再点灯させた。9日のヤクルト戦(甲子園)同点の9回、ヤクルト押本から粘りに粘った11球目をバックスクリーン右へのサヨナラ4号ソロ。お立ち台では「必死のパッチは関本よりオレが先だ」と叫びファンを沸かせた。2位巨人が中日に逆転負けし、ゲーム差も5に広げた。苦戦続きだが、9連戦を幸先いい白星でスタートさせた。
白球を見上げながら、矢野が右手をあげた。ホームベース付近で待つナインに、もみくちゃにされた。ベンチに戻ると、岡田監督が満面の笑みで出迎えた。「まぐれです。まさか入るとは。皆さんの声がホームランにしてくれました!」。お立ち台では、すっかり関本の代名詞となったフレーズ「必死のパッチで頑張ります」を叫んだ。一塁側ベンチで見守る関本に笑顔で合図。関本が手を上げてこたえる絶妙な掛け合いで、ファンを沸かせた。「(フレーズを使い始めた)元祖は僕です。パクッたみたいになってますけど。あいつのものになってますけど返してください」。百戦錬磨の男も、興奮した。
同点の9回。バットを短く持ち、ヤクルト押本に食らいついた。6球ファウルで粘り、フルカウントで迎えた11球目。137キロの真ん中直球をミートした。風に乗った打球はバックスクリーンのわずか右、最前列に着弾。03年9月5日横浜戦(甲子園)以来、通算2本目のサヨナラ弾で決着をつけた。
北京五輪では、力をつぎ込んだがメダルを手にすることができなかった。帰国後は結果が出ない日々が続いた。「活躍しないと『五輪ショック』と言われる。日の丸を背負って戦った。そんなに簡単に切り替えられないけど、オレらには優勝がある」。戦列復帰以降、これで38打数9安打、打率2割3分7厘。まだ満足できる成績ではないが、モチベーションは高まるばかりだ。
8月以降、チームは下降線をたどり、一時は2位巨人に3・5ゲーム差まで追い上げられた。「(巨人は)めちゃめちゃ気になる。前半戦のような戦いができていないから気になるのかもしれないけど」。この日、6度目となるマジック「20」が点灯した。ヒーローははお立ち台でファンに約束した。「苦しい試合が続いているけど、つくづく思った。謙虚に戦っていけば優勝できると思います」。
ベテランの1発がラストスパートの号砲だ。【佐井陽介】



