<中日2-4巨人>◇11日◇ナゴヤドーム

 中日山本昌投手(43)が1球に泣いた。2-2の7回、阿部に決勝の15号2ランを被弾。8回途中まで粘投を続けたが、8安打4失点で5敗目(11勝)を喫した。巨人グライシンガーとの投げ合いにも敗れ、最多勝争いで4差をつけられた。チームは終盤の追い上げも及ばず5連勝でストップ。3位は変わらないが、クライマックス・シリーズ(CS)進出を争う4位広島に2ゲーム差に詰められた。

 打球の角度で理解した。山本昌は、同点の7回無死一塁から阿部に131キロ直球を打ち返された。外角狙いが中央に入った痛恨の1球。インパクトの瞬間、観念したように両手を腰に当て、打球と反対方向の三塁側に2歩踏み出した。一拍置いてから振り返ったが、打球は右翼中段に着弾。ナゴヤドームの天井に向けて、無念の叫び声を上げた。

 「あそこのホームランが失敗した。逆球です。今日はそんなに良くなかったけど、あの回(8回)までせっかくいったんだから」。7回1/3を投げて8安打4失点の5敗目を悔やんだ。

 本調子でなくても、耐えてしのいだ。ハーラートップのグライシンガーと「チーム勝ち頭対決」。初回に先制を許した。直球は最速137キロとスピード不足だったために、多彩な変化球を軸にした。3回以外は毎回走者を出したが、内野ゴロを打たせて3併殺を奪った。5回先頭の打席ではバント安打を狙う構えを見せるなど必死だった。

 悲願の200勝を達成し、目標の2ケタ白星もクリア。「あとはチームがクライマックス・シリーズに出ることだけ」とけが人続出の先発陣を引っ張る覚悟だった。しかし今季3勝の巨人相手に初黒星を喫した。

 落合監督は「今日の出来からすれば、よくあそこまで抑えていた方じゃないか」と力投を認めた。山本昌から始まった連勝は山本昌でストップし、6連勝はおあずけ。それでも43歳は「また気を取り直して、次ですね。頑張ります」と前を向いた。【益田一弘】