<横浜4-6中日>◇2日◇横浜

 中日の守護神岩瀬仁紀投手(33)が2日、プロ野球史上初となる10年連続50試合登板の偉業を達成した。この日の横浜戦(横浜)で3点リードの延長10回から登板。1点を失ったが、今季35セーブ目を挙げて記録に花を添えた。チームは李炳圭外野手(33)の2発5打点の活躍などで5連勝。クライマックスシリーズ(CS)進出マジックは、残り5試合で2とした。明日4日にも3位が確定する。

 最後は最大の武器スライダーで決めた。6-3で迎えた延長10回、1点を失ってなお2死一、二塁。岩瀬の137キロ外角スライダーに代打佐伯のバットが空を切った。勝利の瞬間、守護神は小さく笑った。

 岩瀬

 自分でやったことだから何と言っていいかわからない。ただ、10年と言えば長く感じる。よくここまできたなと思います。

 ブルペンを出る前、広島が勝ったことを知った。CS進出へ前進するためにも必勝を決意してマウンドに上がった。2死から連打を浴びて1失点も、最後のとりでは守ってみせた。

 「とにかく致命的なケガをしないこと。体調管理には気を配ってきた」。酒を飲めない体質だからアルコールとは無縁。肩甲骨の可動域が広いため、体さえできれば投球練習なしでもマウンドに上がれるという。

 今季は最も苦しい1年だった。開幕から不振で前半だけで3敗。8月の北京五輪では星野ジャパン5敗のうち3敗。「今年は普段なら体調がよくなる時期でも上がってこなかった。10年間で一番きつい。体をどうやってもたせるか。気力をどうやってもたせるか…」。苦悩の分だけ、達成感もひとしおだった。

 落合監督も最大級の賛辞を贈った。「すごいことです。当分破られないだろう。やめるまで(50試合)いってもらいましょう。他の選手に代わりはいるけど、あいつの代わりはうちにはいない」。これでCS進出マジックは1つ減って2。不動の守護神の大記録とともに、オレ竜が1歩前進した。【鈴木忠平】