０９年の虎の恋人は、規格外のサウスポーだ。花巻東（岩手）の菊池雄星投手（２年）は１年夏、１４５キロ快速球で甲子園デビュー。今では最速１４９キロにまで進化した。バレーボール、水泳、新体操にピアノ、書道、絵画と趣味は多彩で、大変な読書家。ユニークな怪物左腕を紹介する。関西も立命大・藤原正典投手（３年）や近大・荒木貴裕（３年）ら大学生を中心に、楽しみな候補が目白押しだ。

　虎の恋人は、みちのく岩手にいた。快速左腕の菊池だ。１年夏に出場した甲子園では１４５キロをマークし、鮮烈な全国デビューを果たした。それから１年半。全球団から注目されるドラフトの目玉に成長した。

　「勝てる投手にならないと意味がない」というのが信条。スタミナ不足と制球難を克服するため、昨秋の県予選を前に上手投げからスリークオーターにフォームを変えた。上手投げのときは最速１４９キロをマークしたが、スリークオーターでは１４５キロ前後。それでもスライダー、カーブが切れ、肩の負担も軽くなった。

　東北大会準決勝で光星学院（青森）に敗れたが、阪神の菊地東日本統括スカウトは「非の打ちどころのない投球フォーム。ひじが柔らかくて球持ちがいい。高橋尚をスケールアップさせた感じで、高校時代の井川よりいい」と絶賛。１位候補として追い続けている。

　多才な顔を持つ。両親が学生時代にバレーボール選手だったことから、菊池も見前小時代は野球のかたわらバレーボールにも打ち込み、５年時には県大会で優勝。水泳でも、同年の盛岡市の大会で、自由形５０メートルで優勝した。新体操に挑戦したこともある。いろんな人と知り合いになり、勉強するのが好きだった。そのため、ピアノ、書道、絵画も習いに行った。

　見前中３年の体育祭では、応援団の団長も務めた。全校生徒の前で「ソーラン節」を歌い踊った。「緊張したけど、大事な試合でも動揺しないハートを手に入れたと思います」。翌年の華々しい甲子園デビューの裏には「ソーラン節」で培った自信があった？

　プロの世界にあこがれるが、その前に目標がある。「もう一度甲子園に行って、全国制覇したい」。全国ＮＯ１投手を目指し、進化を続ける。

　［2009年1月5日10時43分

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